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遺言に反する相続人の処分行為の効力と遺言執行者の有無

 旧民法1013条は、遺言執行者がある場合相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができない旨定めており、判例は1013条に違反する相続人による相続財産の処分を絶対的に無効であるという立場でした。

 しかし、遺言執行者がいない場合について、旧法下の最高裁判例では受遺者と相続財産を差し押さえた相続人の債権者との関係は対抗関係に立つとしており、このような結論の差異が正当化できるかについて議論がありました。

 新民法1013条2項は、相続人と取引関係に立つ相手方は通常遺言の内容を知り得る立場にないにもかかわらず遺言執行者の有無で取引の有効性に違いがでることを避けるという観点、及び、遺言執行者による円滑な遺言の執行を確保するという観点から、「前項の規定に違反した行為は無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。」と規定しました。




管轄に関する職権証拠調べ

 民事訴訟法3条の11は、「裁判所は、日本の裁判所の管轄に関する事項について、職権で証拠調べをすることができる。」と定めています。

 人事訴訟についても、この規定が適用されることが人事訴訟法1条により導かれますが、人事訴訟法29条1項は、「人事に関する訴えについては、民事訴訟法第3条の2から第3条の10まで、第145条3項及び第146条3項の規定は、適用しない。」と規定しています。




「大崎事件」第三次再審請求棄却決定に対する会長声明(日本弁護士連合会)

 日弁連が,大崎事件再審請求棄却決定に抗議する会長声明をだしています(日弁連ホームページ)。

 最高裁決定は,再審開始を認めることが,著しく正義に反するとしています。

 弁護士出身の担当裁判官が2名いるにもかかわらず,検察官の特別抗告には理由がないと判断しながら職権で再審開始決定を取り消し自判した点,全員一致の決定であることについて残念な印象をもちます。




寄与分と特別寄与料における「特別の寄与」

 改正民法により、相続人の配偶者等の相続人ではない者が、被相続人の療養看護に努めるなどの貢献を行った場合に、相続人ではない被相続人の親族が、相続人に対して、貢献に応じた額の金銭の支払いを請求できるという特別寄与の制度が新設されました。

 寄与分における「特別の寄与」とは、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度の貢献を超える高度なものと解されています。

 一方、特別寄与における「特別の寄与」は、特別寄与者が被相続人に対して民法上の義務を負わない者も含まれることから、その者の貢献に報いるの相当と認められる程度の顕著な貢献があったことを意味するものと解すべきとされています(「東京家庭裁判所家事第5部(遺産分割)における相続法改正を踏まえた新たな実務運用(家庭の法と裁判号外)」116ページ)。

 特別寄与料の支払いについて当事者間に協議が調わないときや協議ができないときには、特別寄与料を請求する者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができます(民法1050条2項)。

 特別寄与料の請求は、寄与分とは異なり、遺産分割に関する事件が家庭裁判所に係属していなくても家庭裁判所に請求できることとされています。




配偶者短期居住権の消滅事由

 改正民法1037条1項及び3項で、配偶者短期居住権が新設されました(令和2年4月1日から施行されます)。

 配偶者短期居住権は、存続期間が満了した時、1037条3項による居住建物取得者による消滅請求がなされた場合、配偶者が配偶者居住権を取得した時、配偶者が死亡した時、居住建物が全部滅失等したとき等に消滅します。

 配偶者が配偶者居住権を取得した場合を除いて配偶者短期居住権が消滅した場合の配偶者は、居住建物を返還する必要があります(民法1040条1項本文。ただし書では、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合には、配偶者短期居住権が消滅したことを理由に返還を求めることはできないことが規定されています。)。

 遺産分割が早期に終了した場合にも、6か月間は居住建物の無償使用が保障されることが、最高裁平成8年12月17日判決を前提とした実務に大きな影響がある点だと思います。




改正司法書士法の成立

 6月6日に衆議院にて可決し,成立しました。

1 使命規定

  司法書士法1条が,「司法書士は,この法律の定めるところによりその業務とする登記,供託,訴訟その他の法律事務の専門家として,国民の権利を擁護し,もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。」と改正されました。

2 懲戒規定

 ⑴ 懲戒権者が,「法務局又は地方法務局の長」から,「法務大臣」に改正されました。

 ⑵ 懲戒の除斥期間が7年とされました。

 ⑶ 戒告処分の際に聴聞の機会が与えられることが定められました。

3 司法書士法人規定

  社員一人の司法書士法人の設立が認められました。




金融機関に対する払戻請求権(改正民法909条の2)の差押え可能性

 改正民法909条の2は、一定の上限を定めたうえで、家庭裁判所の判断を経ることなく、金融機関に対し遺産である預貯金債権を行使することができることを定めています。

 この払戻請求権の差押え、譲渡、相殺について、部会資料25-2には以下のような記載があります(⑵は、909条の2に基づく払戻請求権をさします)。

「平成28年12月19日最高裁大法廷決定(民集70巻8号2121頁)により,共同相続された預貯金債権については,遺産分割の対象とされ,共同相続人の一人による単独での権利行使が許されないこととなったところ,本方策は,法律上の規定を設けて預貯金債権のうち一定額については単独での権利行使を可能とするものであって,本方策によって性質の異なる複数の預貯金債権を創設するものではない。したがって,相続開始により準共有となったものと解される預貯金債権の準共有持分を譲渡したり,これを差し押えることは可能であるが,「⑵」の方策に係る払戻し請求権それ自体を独自に観念することはできず,これを譲渡したり,差し押えることはできないものと考えられる。もっとも,預貯金債権の準共有持分を譲渡することにより,本方策によって付与された預貯金債権を単独で権利行使をすることができる地位も第三者に移転することになるかについては更に問題となるが,本方策が,遺産分割までの間は預貯金債権を単独で権利行使ができないことにより定型的に相続人に生じ得る不都合を解消するために特に設けられた制度であることからすれば,当該持分の譲渡を受け,又は差押えをした第三者については,本方策に基づく単独での権利行使はできないと解すべきように思われる(なお,当該持分を譲り受けた第三者としては,(準)共有物分割を経るなどして,換価する手段は残されている。)。なお,本方策は,あくまでも共有法理の例外を設けたものであるから,第三者が相続人の共有持分を差し押さえた場合には,その相続人は,差押えによる処分禁止効により,本方策による払戻しを受けることもできなくなるものと考えられる。」




小規模宅地特例の見直し(平成31年度税制改正)

 特定事業用宅地等の範囲から、当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が当該宅地等の相続時の価額の15パーセント以上の場合を除き、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等が除外されることになりました。

 平成31年4月1日以後に相続等により取得する財産についての相続税に適用されますが、同日の前から事業の用に供されている土地等については適用されません。




杉浦徳宏「医療訴訟における高齢者が死亡した場合の慰謝料に関する一考察」

 判例時報2402号に掲載されています。

 医療訴訟の目的が,真実の発見の要素が強いことや,介護事故における裁判例を参照し,交通事故の際の慰謝料基準をそのまま参照することの違和感を示し,最低200万円の慰謝料を提言しています。

 が,異論も予想されるところです。




金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について

 金融庁ホームページにアップされています。




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