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免責審尋期日で気になること

 名古屋地裁本庁での免責審尋は,破産者を20人から30人程度集めて同一の機会に行われます。

 裁判官によって多少異なりますが,審尋においてかなりの確率で聞かれるのが,「今日の時点で借金は支払わなくてもよいとお考えですか」,あるいは,「今日の時点で借金は支払わなければならないですか」というような質問です。

 破産手続き開始決定と免責決定の違いを聞く質問ですが,多くの場合は免責審尋から数週間で免責決定がなされるのが通常でありどれほどの意義があるのかといつも思いますし,後者の文言による質問に至っては,破産手続きの依頼を弁護士に依頼した時点で親族に対する借金も含めて「払ってはいけない」と厳しく言われ実際払わないまま免責審尋を迎えている破産者に対する質問としては不適切と感じてしまいます。

 今日行われた免責審尋期日であった債権者の気持ち(?)について考えさせる質問は、まだありかなとは思いました。

 そのほかに説明がなされる項目としては、破産免責制度の趣旨や免責不許可事由と裁量免責、非免責債権、債権者からの異議などについてです。




山本龍彦慶応大学教授の講演

 AIが人権に与える影響についての論考の多い山本龍彦教授の講演が,12月14日に名古屋市博物館で開かれます(愛知県弁護士会ホームページ)。

 私は,マインバー法について研修の講師を頼まれた際に,個人情報やマイナンバーと憲法問題について興味を持って調べたところ,山本先生の論文で勉強したことをきっかけに,山本先生のご著書を読むようになりました。

 興味深い話が聞けるものと思います。




菅野和夫「労働法<第12版>」の訂正情報

 弘文堂ホームページに掲載されています。

 昨日の時点で,岐阜駅の三省堂書店に並んでいました。

 労働案件を扱う実務家必携です。




向井治紀審議官「マイナンバーを他人に見られても,別に何も起こりません。」

 月刊社労士2019年11月号で,対談記事が掲載されています。

 内閣府大臣官房番号制度担当室長の向井審議官が,マイナンバーないしマイナンバーカードの普及の文脈で以下のような発言をしています(向井氏は,ジュリスト2013年8月号及び2016年2月号のマイナンバーの特集座談会でも発言されています。)。

・スタートした当初,番号を金庫に保管するなどの過剰な反応があった。

・他人に見られても別に何も起こらない,口座番号と同じで実害はない。

・なりすましも起こりようがない制度設計なのに,住基訴訟の影響で実際の制度設計よりも個人情報保護の意識が少し厳しくなっているようにみえる。




三菱総合研究所「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」

 村木厚子さんを委員長とする平成30年度厚労省老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究」委員会が整理したものです(厚労省ホームページ

 弁護士として介護施設での法律相談にのることが定期的にありますが,介護施設での相談に限らず,広くカスタマーハラスメント対策を考える上でも参考になる内容だと思います。




瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権の遅延損害金の起算日

 請負契約の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権は、期限の定めのない債権であることから、遅延損害金発生の起算日は催告の翌日であり、催告期間の定めがあるときは期間経過後となります。

 同請求権は、請負代金請求権と同時履行の関係にあることから、請負代金債務が残っているときには、遅延損害金は発生しないことになりますが、相殺の意思表示がなされると、意思表示がなされた日の翌日から遅延損害金が発生することになります(最高裁平成9年7月15日判決)。

 損害賠償として瑕疵修補費用を請求する場合の算定の基準時については,①注文者が請負人に対し瑕疵修補請求をしたが請負人が応じないので修補に代わる損害賠償請求をした場合には修補請求の時であり,②瑕疵修補請求をせずに瑕疵修補に代わる損害賠償請求をした場合には損害賠償請求をした時となります。

 なお,専門的知見を要する建築関係訴訟を適切に遂行するためには弁護士への委任が必要であることから,相当な範囲の弁護士費用については損害賠償の対象とされています。

 損害賠償と弁護士費用の関係については,論究ジュリスト26号に「訴訟による権利回復のための経費と損害として認められる範囲」という記事が参考になります。




パワハラ防止対策法の施行日案

 パワハラに該当するかの問い合わせが最近増えてきています。

 厚労省は10月28日、「第21回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」を開催し、パワーハラスメントに関する雇用管理上の措置を義務化する関連法の施行日について、大企業は2020年6月1日、中小企業は2022年4月1日とする政令案を示した。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07479.html
(改正法施行日に関する政令案)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000560443.pdf

 




デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定に関する基本的な考え方(著作権法第30条の4,第47条の4及び第47条の5関係)

 文化庁ホームページにアップされています。

 平成30年著作権法改正のなかで,実務的な影響が大きく,理論的にも難しいと考えられる,いわゆる柔軟な権利制限規定についてのものです。

 この分野の問い合わせに応じる際には,必須の文献といえると思います。




所得の年度帰属と権利確定主義

 所得税法は,一定の期間を区切って所得を計算し課税の対象とすることから、ある所得がどの年に帰属するかを決める必要があります。

 まず、現実の収入という事実があった時を基準とする現金主義は,納税者が容易に時期を操作できてしまうことから採用することができず、何らかの客観的な基準により収入が発生したとされる時を基準とする発生主義が現行法上採用されているとされています。

 さらに発生主義のもとでは、所得税法36条1項が、「収入すべき金額」と規定していることから、収入する権利が確定した時とする権利確定主義がとられており、収入を請求できる権利が無条件になった時点で収入を得る権利が確定するという無条件請求権説が有力に主張されています。

 なお、収入を受け取る権利が法的に確定していないにもかかわらず「収入すべき金額」を肯定するべき場合があり、そのような場合には、管理支配主義の考え方をとるべきとされています。

 法的に権利が確定していないにもかかわらず現実に受け取った収入について完全な管理支配を肯定できる場合と、違法な所得に関する事例が挙げられています。

 このような議論の具体的な場面として,不動産の時効取得による一時所得の年度帰属の論点があります。

 具体的には,民法における時効の援用の議論や,税法上の観点等から,①占有開始時,②時効期間の完成時,③時効援用時,④時効取得について判決等が確定した場合,が理論上考えられます。

 時効取得の主張が認められるためには,少なくとも10年の占有継続が要件ですから(民法162条1項,同2項参照),時効取得の援用ができる事実関係の下では,①占有開始時の考え方では,自動的に課税の消滅時効期間が経過していることになります(国税通則法72条1項,地方税法18条1項は,租税の徴収権は原則として法定納期限から5年間行使しないことにより時効により消滅する旨規定しています〔金子租税法〔23版〕871ページ〕。)。
 このような納税者の主張は,およそ時効取得が認められた場合には課税ができないことを意味し,弁護士としてはなかなか主張しづらいかなというという印象を持ちます。

 ③時効援用時の考え方をとると,援用後に時効取得の主張が認められないこともありうること,時効取得の主張は予備的に主張されることが多いことからすると,更正の請求の制度により救済されるにしても,所得のないところに課税していると言い得る点で妥当とはいえないのではないかと思います。




管理監督者該当性が否定された場合の付加金の額

 労基法41条2号の管理監督者に該当する場合,労基法上の労働時間,休憩及び休日についての規定が適用されないことになります。

 使用者がある労働者について,管理監督者に該当する前提で割増賃金の支払いを行っていなかった場合に,管理監督者該当性が否定されてしまった場合の付加金の額については裁判例の集積があります。

 客観的に評価して,管理監督者性を基礎づける要素がどれだけ存在したかが問われることになり,4割の限度で認めた例や5割の限度で認めた例や,口頭弁論終結前及び終結後に提示された裁判所の和解勧告に従わなかったことなどを考慮して付加金請求を棄却したAGORATECHNO事件などもあり,弁護士として対応に注意をするべき論点といえます。




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