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菅野和夫『労働法』第十一版補正版

 弘文堂のホームページによると,「時代の変化のなかで形成されてきた新しい労働法の姿を体系化し,個々の解釈問題を相互に関連づけて検討した,労働法の現在を知るために最適の基本書。高齢・少子社会の就業支援策として2016年に行われた,雇用保険法・育児介護休業法・高年齢者雇用安定法・入管法等の改正や,外国人技能実習法の成立等,最新の法改正を網羅した体系書の決定版です。」ということで,2月に出るようです。

 4年ぶりに改訂された十一版を昨年購入した弁護士からすると,予想外の印象です。




訴訟の相手方の顧問弁護士を誹謗する準備書面を作成した三名の弁護士のうち,作成等を指導した一名の弁護士の名誉棄損に係る不法行為を肯定し,他の二名の弁護士の不法行為を否定した事例

 判例時報2312号106頁に掲載されている東京地裁平成27年12月4日判決です。

 代理人であっった弁護士が,相手方の顧問弁護士について,悪徳弁護士,悪徳行為,訴訟詐欺等と記載した準備書面を陳述した点を名誉棄損とした点に加え,主導的に記載・判断をした弁護士一名についてのみ名誉棄損に該当する旨判断した点が事例として参考になります。




山口厚東京大学名誉教授最高裁判事に任命

 刑法が専門の山口厚東京大学名誉教授・早稲田大学教授が最高裁判事に任命されるようです。

 団藤重光先生以来の刑法学者の最高裁判事だと思います。

 山口先生の補足意見や反対意見等読むのが楽しみですが,枠としては,学者枠ではなく,弁護士枠のようで,弁護士会的にはどうなんでしょうか。




番号法と個人情報保護法の逐条解説

 宇賀先生の番号法の逐条解説〔第2版〕と個人情報保護法の逐条解説〔第5版〕が出ました。

 年末年始で時間を見つけて目を通しておこうと思います。

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弁護人に証人の氏名・住居が開示されない場合~改正刑訴法299条の4第2項

 刑事訴訟法299条1項は,証人の尋問請求にあたり,検察官は相手方に対しあらかじめ氏名及び住居を知る機会を与えることを原則としています。

 協力を拒む証人に対しては従来は配慮を要請できるにとどまっていたところ(刑訴法299条の2),証人等の氏名・住居の開示について,開示しない条件を付す,あるいは開示の時期・方法を指定する権限を第一次的に検察官に与えることになっています。

 刑訴法299条の4第2項は,「・・・供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生じるおそれがある場合を除き,」代替措置として氏名に代わる呼称,住居に代わる連絡先を知らせることで,弁護人に対しても,氏名・住居を知る機会を与えないことができる旨規定しています。

 特別部会では,弁護人が暴力団組織に自体に雇われているような場合が想定されているようですが,異論もあるところです。

 非開示措置がなされた場合には,裁判所による裁定請求(刑訴法299条の5)をすることが求めれます。




いわゆる「ぼったくり」の防止に関する条例(案)の概要について

 愛知県警が,ぼったくり防止に関する条例のパブコメを行ったところ,50個の意見が寄せられたとのことです(愛知県警ホームページ)。

 客には,ぼったくり被害に遭わないような義務を定めるべきである,ぼったくりは自己責任である,という意見もあったようで,愛知県警は条例を制定する上で参考にするとコメントしています。




自宅待機命令は無給で可能か①~休業手当(労基法26条)と民法536条の関係

 懲戒事由に該当する行為をした(可能性のある)従業員について、処分が決定されるまで自宅待機を命じ、当該期間中は無給とするという趣旨の規定が就業規則に定められている場合があります。

 自宅待機命令は、使用者による労働者の労務の受領拒絶であることから、民法536条2項の危険負担の規定により、賃金支払義務が残存することになりそうです。

 民法536条2項が適用されるためには、使用者すなわち債権者の責めに帰すべき事由によることが必要です。

 典型例として挙げれるのは、解雇権濫用と評価された解雇や正当な理由のない労務受領拒否によって就労不能となった場合などです(なお、債務の本旨に従わない履行提供であれば、これを使用者が受領拒否しても債権者の責めに帰すべき履行不能とはなりません。この点については、片山組事件が参照されるべき最高裁判例です)。

 一方、労基法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と規定しており、民法536条2項との関係をどう整理するかについては、難しい問題です。

 この点について、荒木労働法〔3版〕124頁では、労基法26条は平均賃金の6割部分については罰則をもって支払いを担保するとともに、民法536条2項後段により債務を免れたとしても利益の償還を認めないことに意義がある説明されています。

 また、帰責事由の解釈としては、労基法26条の帰責事由は民法536条2項の帰責事由よりも広く、「使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む」とされているようです。

 具体例として、監督官庁の勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材の入手困難等が挙げられています。




芸能プロダクションに所属していた女性アイドルが男性ファンと交際する等したことによる不法行為責任,債務不履行責任が肯定された事例

 判例時報2310号126頁に掲載されている東京地裁平成27年9月18日判決で,確定しています。

 判決では,交際禁止条項の効力を認めた上で,異性との交際が発覚したことを不法行為ととらえ,アイドル・芸能プロダクションにとって交際が発覚することはアイドル・プロダクションにとって多大な社会的イメージの悪化をもたらすとして交際と損害の因果関係を肯定しています。

 なお,異性とホテルに行った行為自体が直ちに違法な行為とはならないとしてはいます。

 過失相殺が4割認められていますが,その理由として,他のメンバーが交際を継続していた事実をその他のメンバーは把握していたにもかかわらず原告は把握していなかったなど,当該禁止条項が死文化していたとまではいえないまでも,十分な指導が行われいなかった事情を挙げています。

 類似の事案として,東京地裁平成28年1月18日判決があります。

 芸能プロダクションである原告が女性アイドルであった被告及び交際していた男性に対して,交際開始を機に出演業務を一方的に放棄するなどしたことによる逸失利益都の損害を発生させたとして損害賠償を求めたところ,女性アイドルであった被告に害意はなかったとして請求を否定したものです。




弁護士による裁判官評価アンケート

 愛知県弁護士会によるアンケートは,平成10年,13年,22年,24年,26年に続き2年ぶりに実施され,今回からは,愛知県弁護士会ホームページの会員専用ページからも回答が可能となったようです。

 案内文には,「市民のための司法改革が進められている現在,司法の利用者である市民の目線で裁判官の外部評価をなし,市民のための司法を築くには,法廷で市民の代理人として日常的に裁判官に接している我々弁護士が,裁判官を多角的に評価することは極めて有用なことであります」と記載されています。

・記録はよく読んでいるか

・訴訟指揮に思い込みはないか

・自分のした争点整理に固執しないか

・判決書は説得的か

などの項目があります。




休職事由が消滅しない場合の手続き~解雇か当然退職か

 休職期間満了時までに休職事由が消滅しない場合、就業規則上、解雇とする方法と当然退職とする方法が考えられます。

 解雇は使用者の一方的とはいえ意思表示が介在する一方で、当然退職の場合には労使双方とも特段の意思表示を要しないという違いがありますし、解雇の場合には解雇予告手当のほか、社会通念上相当な理由が求められることになります。

 実務上は、当然退職としておくことが推奨されます。




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