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みなし成功報酬特約とは

 委任契約のなかで「依頼者が弁護士の責によらない事由で解任し、又は無断で取下げ、放棄、和解等をなし事件を終了させ、若しくは委任事務の遂行を不能ならしめたときは、委任の目的を達したものとみなし、弁護士は依頼者に対して報酬の全額を請求することができる」と規定することがあり、これを一般にみなし成功報酬特約というようです(「弁護士の経験学」37頁)。

 みなし成功報酬特約については、旧報酬規程に定めがあり、委任契約書に規定する弁護士も相当いるようであり、また、複数の裁判例もあるようですので、事務所の委任契約に導入するかも含めて分析する価値がありそうです。




平成29年1月1日施行改正育児介護休業法の概要

 平成29年1月1日,改正育児介護休業法が施行されますが,主な改正点は以下のとおりです。

1 介護休業の分割取得

  改正前:対象家族1人につき通算93日まで,要介護状態ごとに1回

  改正後:対象家族1人につき通算93日まで,3回までを上限とする

2 介護休暇及び子の看護休暇の半日単位取得

  改正前:1日単位

  改正後:半日単位も可

3 介護短時間勤務を介護休業と分離,3年間に2回以上利用可とする

  改正前:介護休業と通算して93日以内

  改正後:介護休業とは別に,利用開始から3年間に2回以上利用可

4 介護所定外労働免除の新設

  改正前:制度なし

  改正後:従業員の申出に基づき,所定外労働を免除

5 有期契約労働者の育児休業・介護休業の取得要件緩和

  改正前:①勤続1年以上,②子が1歳に達する日(介護休業開始予定日から93日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること,③子が2歳に達する日までの間(93日経過日から1年を経過するまでの間)に更新されないことが明らかである者を除く

  改正後:①勤続1年以上,②子が1歳6か月に達する日までの間(93日経過日から6か月を経過するまでの間)に労働契約が満了することが明らかでない者

6 介護休業等の対象家族の範囲拡大

  改正前:配偶者,父母,子,配偶者の父母,同居かつ扶養している祖父母,兄弟姉妹及び孫

  改正後:配偶者,父母,子,配偶者の父母,祖父母,兄弟姉妹及び孫

7 育児休業等の対象となる子の範囲拡大

    改正前:法律上の親子関係である実子・養子

  改正後:特別養子縁組の監護期間中の子,養子縁組里親に委託されている子を追加

8 マタハラ・パタハラ防止措置の新設

  改正前:規定なし

  改正後:事業主は,上司,同僚が妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由として就業環境を介することを防止する措置を講じる義務を負う

9 派遣先へのマタハラ・パタハラ防止措置,不利益取扱禁止規定の適用

  改正前:規定なし

  改正後:自社従業員だけでなく,派遣社員についても措置を講じる義務を負う




ゲスト痴漢えん罪経験者

 話題のNHKねほりんぱほりんの次回は、「痴漢えん罪経験者」とのことです(NHKホームページ)。

 その次が「元薬物中毒者」ということで、弁護士が興味をもつテーマがつづきます。




今日買った本(講義刑法学・各論ほか)

・ 井田良「講義刑法学・各論」(有斐閣)

 はしがきには,「学生のための学習書・自学自習書としての性格を強めたつもり」「ほとんどの論点において判例および裁判実務の考え方にしたがっており」「『講義刑法学・総論』と比べて教科書としてよりオーソドックスな本になったと思う」という記載があります。

 性犯罪の保護法益の実体について,「身体的内密領域」という概念を設定して論じています。

・ 高中正彦弁護士ほか「弁護士の経験学~事件処理・事務所運営・人生設計の実践知」(ぎょうせい)

 弁護士として仕事をしていくなかで,気をつけるべきポイントが凝縮されている内容です。

 類書は多いですが,興味深い指摘が多くあります。

 「自由と正義」が,すべての裁判所・検察庁の他,全国の大学法学部,法科大学院,隣接士業団体に送付されているという記載もありました。

・ 労働判例百選〔第9版〕

 百選に近づくべく第8版から10件収録数を削減し,第8版とは全て異なる方が執筆しているとのことです。

 山梨県民信用組合事件(最高裁平成28年2月19日判決),社会医療法人天神会事件(福岡高裁平成27年1月29日判決),ニヤクコーポレーション(大分地裁平成25年12月10日判決)まで掲載されています。




複数事務所の禁止と弁護士の執務場所(弁護士法20条3項)

 弁護士法20条3項は,弁護士が複数事務所を設置することを禁止していますが,そのただし書では,「他の弁護士の法律事務所において執務することを妨げない。」と規定しています。
 
 その趣旨については,弁護士の執務場所について特段の制約がないことは当然であるところ(裁判所で弁論することもあるし,事件現場で調査することもある。これらの場所がそのとき弁護士の執務場所であることは明らかです。),他の弁護士の法律事務所での執務も禁止されていないという当然のことを規定したものということのようです。
 
 ただし,複数事務所の禁止の趣旨に照らし,他の弁護士の法律事務所が単なる執務場所というにとどまらず法律事務取り扱いの本拠になっていたり,自己の法律事務所 と認識されるような表示を掲げてはならないこととされています。




私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約が3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえないとされた事例(最高裁平成28年12月1日判決)

 櫻井龍子裁判官の補足意見では,

 「有期労働契約が引き続き更新されるであろうと いう期待と,無期労働契約に転換するであろうという期待とを同列に論ずることが できないことは明らかであり,合理性の判断基準にはおのずから大きな差異があるべきといわなければならない。無期労働契約への転換は,いわば正社員採用の一種 という性格を持つものであるから,本件のように有期労働契約が試用期間的に先行 している場合にあっても,なお使用者側に一定範囲の裁量が留保されているものと 解される。そのことを踏まえて期待の合理性の判断が行われなければならない。」

 「労働者の主観的期待を基準 に考えるのではなく,客観的にみて法的保護に値する期待であるといえるか否か を,様々な事情を踏まえて総合的に判断すべきもの」

という指摘がなされています。

 本件では原審が破棄されていることからも分かるとおり,弁護士には難しい判断が求められる論点といえます。




少年審判規則の改正と証拠の一覧表交付についての刑事訴訟法改正施行等

1 平成28年12月1日から保護事件記録の閲覧について,審判の準備の上で支障が生じる場合を除き,以下のような制限が加えられることになります。

⑴ 一時的措置(改正規則7条3項)

 ① 加害行為等がされるおそれがある事項を少年・保護者に知らせてはならない旨の条件を付す。

 ② 少年・保護者に知らせる時期・方法を指定する。

⑵ 二次的措置(改正規則7条4項)

  一時的措置では防止できないおそれがあると認めるときは,当該事項が記載されている部分の閲覧を禁止する。

 今後,裁判所が以上のような要件を考慮することが求められる関係で,記録の開示が遅れる可能性があるとのことです。

2 なお,平成28年12月1日からは,公判前整理手続・期日間整理手続請求権を付与する刑事訴訟法316条の2のほか,整理手続きに付された事件について,証拠一覧表の交付を要求できるという刑事訴訟法316条の14第2項も施行されます。

3 刑事事件を扱う弁護士にとっては,改正法の趣旨を理解するとともに,それに適した弁護実践が求められるところです。




不貞慰謝料請求権が非免責債権に該当しないとされた事例

 判例タイムズ1429号234頁に掲載されている東京地裁平成28年3月11日判決です(標題は,「原告の被告に対する不貞慰謝料請求権が破産法253条1項2号所定の非免責債権に該当しないとされた事例」となっています。)。

 破産法253条1項2号は,「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」を非免責債権である旨規定していますが,この「悪意」に該当するか否かについて,破産申立代理人弁護士として,依頼者に見通しを伝えることが要求されることもあります。

 条解破産法第2版1681ページでは,肯定した裁判例として,債務超過を認識したうえでクレジットカードを利用して商品購入飲食をした事例,金融業者からの借入に際し他からの債務の状況資金使途保証人などにつき虚偽の説明をした事例,町長が無権限で公印を使用してリース業者と延払売買契約を締結して売買代金を詐取した事例などが紹介されていますが,見通しを伝える際には,個別の具体的な事案に当たる必要があります。

 この判例では,「悪意」の意味について,故意を超えた積極的な害意をいうとする見解を採用し,具体的な事実関係のもとでは,結論として積極的な害意があったとはいえないとして,非免責債権には該当しないと判示しています。




個人番号カードをコピーする場合の注意点

税務関係書類を提出する際の本人確認方法として,個人番号カード(マイナンバーカード)の表面と裏面の写しが要求されます。

写しの取り方によっては,裏面のマイナンバーが読み取れない場合もあり,写しを再度コピーする場合などは特に注意が必要です。




『自白の信用性』を利用するにあたって

 法曹会から出ている『自白の信用性』について,その利用の注意点が,司法研修所第一部教官室の名義で公表されています(法曹会ホームページ)。

 無罪判決が言い渡された布川事件判決を踏まえたもののようです。

 同書は,司法修習のときに買った記憶があります。




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