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取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である (最高裁平成29年2月21日決定)

 抗告理由を「取締役会設置会社において,定款で株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができるものとすることは,代表取締役の職務執行に対する取締役会の監督権限を弱めるから,本件定めは無効」とする,職務執行停止,代行者選任仮処分命令申立て却下決定に対する許可抗告事件です。

 結論として,取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効であるとされています。

 江頭憲治郎「株式会社法<第6版>」315頁には,「なお代表取締役・指名委員会等設置会社の執行役のように取締役会に任免権があると定められている者の選任(選定)・解任(解職)を定款の定めにより株主総会の決議事項とすることは認められない,とする見解があるが,とくにそう解する必要はない。」と記載されています。




シリーズ刑事司法を考える第0巻「刑事司法への問い」(岩波書店)

 岩波書店からでました(岩波書店ホームページ)。

 楽しみな著者・タイトルが多いですが、

・「勝率ゼロへの挑戦」から得たこと  八田 隆

・性暴力(性犯罪)被害者と刑事司法  小林美佳

日本における今後の刑事司法の在り方について  落合洋司

諦める刑事司法  市川 寛

近頃の裁判官の令状審査  寺西和史

いつの日か僕の演劇を観てほしい  宇梶剛士

裁判所が変われば大きく変わる  周防正行

・国民に検証可能な刑事司法を  江川紹子

・「明日は我が身」と思えるか──志布志事件の取材を経験して  大久保真紀

・まず隗より始めよ  前田恒彦

「日本版司法取引」の導入は本当に大丈夫か?  郷原信郎

法医学の司法への貢献はいかにあるべきか  本田克也

 などは刑事弁護実務にも関連するものであり、必読だと思います。




裁判員裁判で弁護人が証人に扮して尋問を再現する異例の試み

 裁判員裁判による判決が差戻しとなった場合,差戻し前の一審で行われた証人尋問の様子を録画したDVDの再生により審理することが通常です。

 NHKNEWSWEBによると,覚せい剤の密輸について一審での有罪判決が控訴審で差し戻された裁判員裁判(2月17日言い渡しのようです。)で,通訳の時間を省くという理由で,弁護人が証人に扮して日本語だけの証人尋問が再現されたとのことです。

 裁判員の負担軽減,時間短縮のためにはなんでもありという印象を受けますが,刑事訴訟法上説明がつくのでしょうか。




多数の判例及びその解説を収録した雑誌の「編者」として表示された者について,著作者の推定が及ぶとした上でその覆滅を認め,同人の著作者人格権に基づき当該雑誌の改訂版の複製等を差し止める仮処分決定を認可した原決定を取り消し,仮処分命令申立てを却下した事例

 著作権判例百選第5版の出版が問題となった知財高裁平成28年11月11日決定が判例タイムズ1432号103頁に掲載されています。

 匿名コメントでは,本件が,知的財産法専攻の大学教授が著作権・著作者人格権に基づき「著作権判例百選」の複製等の差止めを求めるという事案であるがゆえに社会的な関心を呼んだ事案であるが,あくまで事例判断にすぎない旨の指摘がなされています。

 また,本件の事案に特有の事情が結論に影響を及ぼしたことが強く伺われること,限界的な事例であったという指摘もなされており,改めて検討しておきたいと思います。




変更の合理性が否定された就業規則が効力を持つ場合

 変更の合理性が否定された就業規則であっても、当該変更について同意をした労働者との関係では、効力を有することになります(労働契約法8条・9条)。

 また、変更の合理性が否定されたとしても、変更後の就業規則が規定する労働条件自体に合理性が認められる場合には、当該就業規則変更後に採用された労働者との関係では有効ということが、労働契約法7条本文から導かれます。

 以上のことが,菅野和夫『労働法<11版>』210頁,荒木尚志『労働法<第3版>』391頁に書かれています。




昨日買った本

・伊藤雅浩弁護士ほか著「ITビジネスの契約実務」(商事法務)

・廣田尚久弁護士著「若手法律家のための和解のコツ」(学陽書房)

・高世三郎著「弁護士の紛争解決力 元裁判官による実践的ケースに学ぶ」(有斐閣)

・林道晴・太田秀哉編「ライブ争点整理」(有斐閣)

・村瀬拓男弁護士著「電子書籍・出版の契約実務と著作権」<第2版>(民事法研究会)

・中森亘弁護士・野村剛司弁護士編著「破産管財PRACTICE」(民事法研究会)

・土田道夫著「労働契約法」<第2版>(有斐閣)

・石嵜信憲弁護士編著「非正規社員の法律実務」<第3版>(中央経済社)

・倉重公太郎弁護士編著「チェックリストで分かる有期・パート・派遣社員の法律実務」(労務行政)

・藤沢数希著「損する結婚儲かる離婚」(新潮新書)

 いずれも業務に直接・間接に関連するものであり、積読にならないようにしっかり勉強したいと思います。




パートタイム労働者に対する正社員への転換措置

 いわゆるパートタイム労働契約者の雇用契約書で留意すべき点としては、①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無、④相談窓口について記載しているかが挙げられ、実際、これらの事項は、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(一般にパートタイム労働法と呼ばれます)6条1項で、雇入時の明示しなければならないことが定められており、さらに同法6条2項は努力義務についても定めています。

 さらに、同法13条は以下のとおり規定し、企業が通常の労働者(正社員)への転換を推進しています。

<短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律>

13条 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。

1 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。

2 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。

3 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。 




山口厚最高裁判事の趣味

 刑法学者として著名な山口厚先生が最高裁ホームページで紹介されています。

 印象に残った本として司馬遼太郎の「坂の上の雲」を始めとする司馬遼太郎作の歴史小説、趣味的なものとしてウオーキングを挙げられ、「時間があれば一日20キロくらい歩きますが,時間があまりとれないのが悩みです。週末に合計で20キロくらい歩くことを目標にしたいと思っています。」との記載があります。




「フランク三浦」の登録商標に対する無効審決が取り消された事例

 判例時報2315号100頁に掲載されている知財高裁平成28年4月12日判決です。

  原告フランク三浦側の主張の骨子は、原告商品がパロディウォッチに徹しており、原告商標が需要者が出所を混同して購入することがないように使用されており、原告商品と被告フランク・ミュラー商品とは明らかに別のものとして需要者に広く認識されているというものです。

 知財高裁は、結論として、商標法4条1項10号、11号、15号及び19号のいずれにも該当しないとして審決を取り消しました。

 11号との関係では、称呼においては類似するが外観において明確に区別でき、観念において大きく異なることに加え、称呼においてのみ出所が識別されるような実情は認められないと判断しています。

 なお,既にジュリスト1496号知財判例速報で,小林利明弁護士の評釈が掲載されており,パロディ商標が問題となった事例として,シーサー事件(知財高裁平成21年2月10日判決),ランボルミーニ事件(知財高裁平成24年5月31日判決),KUMA事件(知財高裁平成25年6月27日判決)が紹介されています。

<商標法>

第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)




就業規則変更による労働条件変更が有効となる要件

 労働契約法は,就業規則の不利益変更の有効要件に関する一連の最高裁判例を明文化したものと一般に解されています。

 労働契約法9条は,「使用者は労働者と合意することなく,就業規則を変更することにより,労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」として労働契約の合意原則を規定しつつ,「就業規則の変更が・・・合理的なものであるときは」(労働契約法10条),「この限りではない。」(労働契約法9条)として,「労働契約の内容である労働条件は,当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」(労働契約法10条)と規定しています。

 合理性の判断要素として労働契約法10条は,「労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性,労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき」と定めています。

<労働契約法>

第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

第10条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。




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