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事業場外みなしと裁量労働制のみなし時間の違い

 事業場外労働についての労働時間のみなし時間は,基本的な発想としては,できるだけ実労働時間に近い労働時間をみなすことが求められています。

 このことは,「当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす」という規定にあらわれています。

 一方,同じ「みなし」であっても,裁量労働制のみなし労働時間は基本的な発想が異なります。

 条文では,「対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間」をみなすものとし,その設定が労使協定の当事者にゆだねられています。

 これらのことから,裁量労働制におけるみなし時間は,実労働時間とは切り離された労働時間を想定している制度ということができます。

 裁量労働制には,専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制が現行労基法上認められており,弁護士の業務は,専門業務型裁量労働制の適用をうけることができる旨定められています。




催告と協議を行う旨の合意による時効の完成猶予の関係

 改正民法151条3項前段は、催告により時効の完成猶予を確保した状態で、改正民法で導入された協議を行う旨の合意を行っても完成猶予の効力を有しないと規定しています。

 催告も協議を行う旨の合意も、時効の更新の措置をとるまでの暫定的な措置と位置付けられていると考えることができます。

 なお、改正民法151条3項後段は、協議を行う旨の合意によって時効の完成が猶予されている間に催告がされても完成猶予の効力を有しない旨定められています。




時効の更新事由と一体で規定されている時効の完成猶予事由

 改正民法では,権利行使により時効の完成猶予が生じ,前記権利行使が確定することにより更新事由になるという制度が複数あります。

 裁判上の請求,支払督促,調停,破産手続参加・再生手続参加・更生手続参加について定める改正民法147条1項柱書は,「・・・その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては,その終了の時から6箇月を経過する)までの間は,時効は完成しない」と規定し,同条2項は,「前項の場合において,確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは,時効は,同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。」と規定しています。

 強制執行,担保権の実行,競売,財産開示手続について定める148条も同様に規定しています。

 一方で,更新事由と一体ではなく完成猶予の効果だけ認められる制度として,仮差押え・仮処分(149条),催告(150条),協議を行う旨の合意(151条)が規定されています。




短期消滅時効の廃止と原則的な消滅時効期間の短縮化とその例外

 債権法改正により、現行民法170条から174条までの短期消滅時効の特例が廃止されることになります。

 しかしながら、上記規定で2年間とされていた消滅時効の期間が10年とされることに対する違和感や、安定的に運用されている5年の商事消滅時効期間への実務的影響についても配慮が要求されていました。

 一方で、時効期間を短くするべではない債権の存在についても議論されていたところです。

 そこで、改正民法は、主観的起算点から消滅時効期間が進行する新しい消滅時効制度を導入しました。

 すなわち、「権利を行使することができる時」から客観的に起算される10年という従来の消滅時効期間(客観的基準)を維持したうえで(改正民法166条1項2号)、「権利を行使することができることを知った時」から5年の期間により消滅するという請求権者の主観的な基準を導入しました(同項1号)。

 さらに,改正民法167条で,「人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効」については,上記2号の「10年」ではなく,「20年」という規定も設けられました(不法行為の消滅時効に関する改正民法724条1号・2号及び同724条の2も参照)。




定型約款による契約の成立(新民法548条の2)

 民法の原則では、契約の当事者が契約の内容を認識して意思表示をすることで初めて当該契約に拘束されると考えられますが、いわゆる約款を用いた取引をする多くの方は、その内容を認識しないにもかかわらずその内容に拘束されるのかについての法的説明はあいまいな部分もあったものと考えられます。

 改正民法548条の2第1項は、①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたこと(同項1号)、あるいは、②定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していた場合において契約の当事者において定型取引を行う旨の合意がされていた場合に、定型約款を利用した契約が成立すると定めており、定型約款に記載された個別の条項の内容について相手方が認識していなくても合意をしたものとみなす旨定めています。

 ただし、このような法的効果を認めることは、ある種の「擬制」であることから、同条2項は、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であり、信義則に反して一方的に相手方の利益を害する条項については、「合意をしなかったものとみなす」という定めを置いています。




法定利率の改正と債務不履行構成と不法行為構成

 不法行為に基づく損害賠償請求権については、不法行為時に遅滞に陥ると、明文規定がないにもかかわらず、一般的に考えられています。

 債務不履行に基づく損害賠償請求権と構成する場合には、民法412条2項により、遅延損害金の遅滞時期は催告時と考えられます。

 法定利率の変動制が導入されると、債権者は、いつ催告を行うかを選択することが可能であることから、適用される利率を想定しながら催告のタイミングを選択するという行動も考えられるところです。




被疑者国選対象事件と国選付添人対象事件の「ずれ」

 平成30年6月1日から,全勾留事件が,被疑者国選対象事件となりました。

 一方で,国選付添人対象事件は,従来どおり,「死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役または禁錮にあたる罪」のままです。

 被疑者段階では「国選」として活動できるが,家裁送致後は法律上「国選」として関与できない類型があるということは,少年事件を取り扱う弁護士としては留意しておくべき事項です。

 なお,最近私が付添人になった事件では,2回連続で国選付添人に選任されましたが,名古屋家庭裁判所が国選付添人の選任に積極的になっているのかについてはわかりません。




労働時間をみなすことにより労働時間を算定することが認められる場合

 労働基準法は、原則として、労働者の労働時間の厳密な計算を要求し、実際に労働した時間(実労総時間)に対応した賃金支払いを要求しているということができます。

 一方で、労働基準法は、実労働時間ではなく、労働時間をみなすことにより労働時間を算定できる場合、すなわち、同法38条の2が定める事業場外労働、同法38条の3が定める専門業務型裁量労働制、同法38条の4が定める企画業務型裁量労働制を定めており、総称して「みなし労働時間制」とよばれます。

 みなし労働時間制の適用を受ける場合には、実労働時間の算定は問題とならないと一般に言われています。




「労働契約法20条に関する最高裁判決についての談話」(連合)

 日本労働組合総連合会の相原事務局長が、先日のハマキョウレックス事件及び長澤運輸事件の最高裁判決について、談話を出しています(連合ホームページ)。

 他に出されている談話も非常に参考になります。




労働契約法20条についての最高裁判例

 無期労働契約者(期間の定めのない労働契約を締結した労働者)と有期労働契約者(期間の定めのある労働契約を締結した労働者)との労働条件の相違が労働契約法20条に違反しないかが問題となったハマキョウレックス事件と、無期労働契約者と定年退職した後に期間の定めのある労働契約を締結した労働者との労働条件の相違が労働契約法20条が問題となった長澤運輸事件についての判断が最高裁第二小法廷により示されました。

 長澤運輸事件判決では、定年制の意義と労働契約法20条との関係について以下のとおり論じています。

「定年制は,使用者が,その雇用する労働者の長期雇用や年功的処遇を前提としながら,人事の刷新等により組織運営の適正化を図るとともに,賃金コストを一定限度に抑制するための制度ということができるところ,定年制の下における無期契約労働者の賃金体系は,当該労働者を定年退職するまで長期間雇用することを前提に定められたものであることが少なくないと解される。これに対し,使用者が定年退職者を有期労働契約により再雇用する場合,当該者を長期間雇用することは通常予定されていない。また,定年退職後に再雇用される有期契約労働者は,定年退職するまでの間,無期契約労働者として賃金の支給を受けてきた者であり,一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることも予定されている。そして,このような事情は,定年退職後に再雇用される有期契約労働者の賃金体系の在り方を検討するに当たって,その基礎になるものであるということができる。
 そうすると,有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは,当該有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かの判断において,労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮されることとなる事情に当たると解するのが相当である。」

 両判決とも各手当について個別に検討して有効性を判断しており、各種手当の設定や就業規則の賃金規定について相談を受ける際には、名目のみにとらわれることなく、どのような趣旨で導入されたものか、全体とのバランスなどもふまえて検討することがより一層求められることになります。

 なお、無期契約労働者の待遇を引き下げることにより格差を是正する動きも出ているようです。 

労働契約法20条 

 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。




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