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労働契約法20条違反が争われた裁判例2件

 ジュリスト1495号に掲載されています。

 東京地判平成28年5月13日(長澤運輸事件)では,定年後再雇用における労働契約法20条違反が問題となった事案で,ジュリスト4ページ以下で,早稲田大学の竹内(奥野)寿先生が解説されています。

 大津地判平成27年9月16日(ハマキョウレックス事件)は,有期契約労働者・無期契約労働者間の賃金格差が問題となった事案で,ジュリスト127ページ以下で東京大学の水町勇一郎先生が解説されています。




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 全額返金保証制度もあるようです。




認定司法書士の業務範囲に関する最高裁平成28年6月27日判決

 最高裁HPで早速公表されています。

 最高裁は,債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が司法書士法3条1項7号に規定する額を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができないと述べ,いわゆる個別債権説の立場を明確にしたといえます。

 最高裁は,弁論を開いた上で上告を棄却していますが,理由づけとして,認定司法書士が業務を行う時点で,委任者や受任者である司法書士だけではなく,和解交渉の相手方などの第三者との関係でも客観的かつ明確な基準によって決められるべきとして,司法書士側が主張した弁済計画の変更によって受ける経済的利益の額によるべきとするいわゆる利益説や,債務整理の対象となる債権総額等の基準によって定めるべきとする見解を排斥しています。

 弁護士としては,任意整理によるべきか,認定司法書士に代理権が認められていない破産・個人再生などの法的手続きによるべきかについては,債権総額ないし債権の種類などをも慎重に見定めて方針選択することが必要であることから,債権総額等を基準とするべきであるという考え方が正しいと思います。

 いずれにせよ,弁護士業務,司法書士業務に影響の大きい判決です。




研修費用返還義務と労働基準法16条(賠償予定の禁止)

 労基法16条は,「使用者は,労働契約の不履行について違約金を定め,又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と規定し損害賠償額の予定を禁止しています。

 労働者の研修や海外留学費用を使用者が負担した場合において,一定期間内に労働者が退職した場合は,研修・留学費用の返還を義務付ける規定が労基法16条違反となるかについて争われることがあります。

 返還約束が有効とされた裁判例,返還約束が無効とされた裁判例それぞれあります。

 この点について,荒木尚志先生の「労働法<第2版>」74ページでは,オールオアナッシングの枠組による解決は適切ではないとして,2006年に成立した「国家公務員の留学費用の償還に関する法律」が採用する留学後の在職期間に応じて比例的に償還額を逓減する方式が紹介されています。




所有者の登録名義を有していない自動車の留保所有権者が自動車を引き上げて債権の満足を受けた場合の否認可能性

 野上誠一裁判官の論文が,判例タイムズ1424号に掲載されています。

 否認対象行為をどのようにとらえるべきかという観点からも議論が展開されており,十分な検討が必要だと感じました。




『最終(第2回)弁済のお知らせ』~更生会社TFK(旧武富士)

 弁済率は,0.9368パーセントです(更生会社TFK株式会社ホームページ)。

 よくある(ありそうな?)質問と回答も準備されています。

 既に振込手続きは始まっているようです(うちの事務所の口座に「TFKカンザイニンオバタエイイチ」名義の振込を確認しました。)。




ドラマ『99.9‐刑事専門弁護士』の感想など

 毎週ほぼ欠かさず見ていましたが本日の放送で最終回でした。

 全体の趣向としては,弁護士版HEROという感じで、検察の組織としての闇の部分を描写しながら、主人公の弁護士が事件の真相にたどり着くという非常に痛快なストーリーが多かったと思います(検察による不当な取り調べの描写や、弁護人の主張に基づいて検察官が訴因変更をしたり、それを裁判所がそれをそのまま認めたりと実際にありそうな感じでした)。

 このようなことは、法律監修に著名な刑事弁護士が含まれていたことからある程度予想はできたところでした。

 最終回では、検察官が、冤罪が発生する可能性が一部あるとしても犯罪被害者の立場に立って犯罪者を立件していくのが検察官の仕事であるという趣旨の主張に対し、弁護士が、冤罪被害者は、当該犯罪の被害者である、検察はそのような被害者を作出しているのではないかという趣旨のセリフが新鮮でした。

 刑事弁護に興味を持たれた方は、ドラマの小道具的にも使われていた櫻井光政弁護士の『刑事弁護プラクティス‐新人弁護士養成日誌』を、刑事弁護実務を専門的に勉強したい方には、『刑事弁護ビギナーズver.2』をおすすめしておきます。




定期健康診断の時期

 労働安全衛生法66条1項及び労働安全衛生規則44条1項は,事業者は,常時使用する労働者に対し,1年以内ごとに1回,定期に医師による健康診断を行わなければならない旨規定しています。

 ここでいう「定期」とは,毎年一定の時期にという意味と解されています。

 労働安全衛生規則43条の定める雇入時健康診断の時期について調整を検討するべき場合もありそうです。 

労働安全衛生法

(健康診断)

第六十六条  事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。

 <以下省略>

労働安全衛生規則

(雇入時の健康診断)

第四十三条  事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

<以下省略>

(定期健康診断)

第四十四条  事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

<以下省略>




秘密保持契約を締結する際の視点

 主に以下のような視点から,秘密保持契約のチェックをしています。

1 秘密保持契約を締結する目的はなにか。

2 目的との関係で,相手方とこちらとで,どちらが質的量的に多くの価値を有する情報を持っているか。

3 秘密情報の特定,明示の方法が現実的に可能な方法になっているか。

  相手方から口頭で伝えられた秘密と思われる内容の扱い,また当方が口頭で話してしまったものを秘密とするための要件設定や,口頭で伝えた情報を保護しないとするかどうかの価値判断等も。

4 返還,破棄,損害賠償・差止め,誠実協議,紛争解決等の条項は,秘密保持契約終了後も引き続き効力を有する旨規定するべきか。秘密保持契約が途中で解除された場合も,一定期間は効力を有する旨規定するべきか。

5 秘密情報によることなく単独で開発したものを秘密保持の例外とする場合の対応をどうするか。

  受領者側が開示を受けた情報の内容を理解してしまうと後知恵によって受領者が独自に開発したといえる状況を作出されてしまう可能性もある。

6 その他




賃金請求と損害賠償請求の違い

 使用者の安全配慮義務違反により傷病にり患し休業した労働者としては,民法536条2項に基づき不就労期間の賃金を請求する法律構成と,債務不履行(民法415条)もしくは不法行為(民法709条)に基づいて損害賠償請求する法律構成が考えられます。

 それぞれの法律構成から考えられる違いとしては以下のものが考えられますが,裁判例は,労働者に有利な方を認容する傾向にあるようです(君和田伸仁著「労働法実務解説5解雇・退職」(旬報社。2016)205頁参照)。

1 賃金請求では残業代請求を計算基礎に含められないことが多いのに対し,損害賠償請求では計算基礎に含まれる。賞与についても,賃金請求では認められないことが多い。

2 賃金請求では,労基法24条1項が規定する全額払いの原則から過失相殺による減額がされないのに対し,損害賠償請求では過失相殺(訴因減額)がされやすい。

3 その他,損益相殺の有無,消滅時効の期間が異なる。




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