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事業者向けファクタリングは出資法上の「金銭の貸付け」に該当するか

 ファクタリングとは、企業が有する売掛債権等を売却する(譲渡す)ことにより資金を提供するサービスで、企業の資金繰りのために利用されています。

 裁判例では、当該ファクタリング契約が、実質的に利息付きの金銭消費貸借契約であるとして、出資法や貸金業法、利息制限法や公序良俗に反するかが問題となっており、実質的に金銭の貸付けに当たるとした裁判例として、大阪地裁平成29年3月3日判決や、名古屋地裁令和3年7月16日判決があります。

 5444万円分の債権について4900万円で債権譲渡した事実関係において、上記名古屋地判では、不法原因給付に当たる受領金を損害額から控除するべきではないとして、5444万円を不法行為に基づく損害賠償責任を認めています(破産会社の破産管財人弁護士がファクタリング業者に請求した事案で、最高裁平成20年6月10日判決が参照されています。)。

 個人を対象とする給与ファクタリングについては、金融庁が、令和2年3月5日付で業として行うことは貸金業に該当する見解を示しており、その旨の裁判例が複数出ています。