名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >>


ようこそ,弁護士 森田清則のブログへ

私が所属する「弁護士法人 心」のサイトはこちらです。


遺言者生存中に遺言無効確認の訴えを認めるべきと考えられる場合

 一般に、遺言者が死亡するまでは受遺者になんらの権利も生じておらず、受遺者には事実上の期待があるにとどまるという観点から、遺言者が生存中には、遺言から生じる権利関係や法律関係を否定するために遺言無効確認請求をすることはできないと考えられています。

 最高裁平成11年6月11日判決は、遺言者が意思能力を喪失し、遺言の撤回可能性がないという事案においても、「遺言者の生存中は遺贈を定めた遺言によって何らの法律関係も発生しないので、受遺者とされた者も何ら権利を取得するものではなく、単に将来遺言が効力を生じたときは遺贈の目的物である権利を取得することができる事実上の期待を有するにすぎず、このことは遺言者が心神喪失の常況にあって、回復する見込みがなく、遺言者による当該遺言の取消し又は変更の可能性が事実上ない状態にあるとしても変わるものではない」として、遺言者生存中の遺言無効確認の訴えは不適法である旨判示しています。

 証拠の散逸防止や、将来ほぼ起こる紛争を予防することが期待できるを理由とする反対論もあります。




著作者人格権の相続

 著作者人格権は,財産権としての著作権と異なり,相続されないとされています。

 しかしながら,著作者の死後においても著作物の利用者は著作者が生きていたならば著作者人格権の侵害となるような行為をしてはならないとされています(著作権法60条。「著作者が存しなくなった」と規定し、自然人と法人の双方を考慮しています。)。

 また,著作者の遺族は,著作者人格権を侵害するような行為について,差止めや損害賠償,名誉回復の措置をとることができることとされています(著作権法116条)。




執行停止の要件

 行政行為について取消訴訟が提起された場合について,行政事件訴訟法は執行不停止原則を採用しています。

 したがって,行政行為の執行停止を求める場合には,執行停止の申立てを行い認容される必要があります。

 また,執行停止の申立てを行うには本案の取消訴訟が係属している必要がありますが,同日に申立てをすることも多いのではないかと考えられます。

 実務上は,執行停止の申立書に,別紙として訴状一式を提出することになりますが,執行停止の申立書には,「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」という積極要件と,「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」及び「本案について理由がないとみえるとき」という消極要件を意識した記載が必要となります。

 なお行政事件訴訟法26条1項は,「執行停止の決定が確定した後に,その理由が消滅し,その他事情が変更したときは,裁判所は,相手方の申立て,決定をもって,執行停止の決定を取り消すことができる」と規定していますが,「執行停止決定の取消し行われることは稀である。」,その理由として,「執行停止が認められる場合が厳格に制限されてきたことの反映とみることができる」(宇賀克也「行政法概説Ⅱ【第6版】300ページ」)と指摘されているところです。




放課後児童健全育成事業につき、子どもへの育成支援及び家庭への養育支援を促進するための制度の充実を求める意見書(日弁連)

 日本弁護士連合会が,平成31年2月14日に,標記の意見書を,内閣総理大臣,厚生労働大臣,文部科学大臣に提出しています(日弁連ホームページ)。




遺産分割前の預貯金債権の行使(改正民法909条の2)が可能な時期

 改正附則5条は,「新民法909条の2の規定は,施行日前に開始した相続に関し,施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも,適用する。」と定めています。

 施行日(2019年7月1日)前に相続が開始した場合にも,施行日以後であれば,改正民法909条の2に基づく預貯金債権の行使が可能ということになります。




主な改正相続法の施行時期

 改正相続法の施行時期は,制度の周知期間や準備期間を確保するべき観点から,改正項目に応じて,それぞれ定められています。

 自筆証書遺言の方式緩和は2019(平成31)年1月13日,遺産分割等及び遺言執行者の権限の見直し,相続の効力と対抗要件制度,遺留分制度,特別寄与料についての定めは2019(令和元年)7月1日,配偶者居住権及び配偶者短期居住権は改正債権法の原則的な施行時期である2020(令和2)年4月1日とされています。

 なお,遺言書保管法は,2020(令和2)年7月10日に施行されることがきまっています。




定型約款規定の施行時期

 改正債権法により,いわゆる約款について定められました(定型約款について民法548条の2から548条の4)。

 改正債権法の原則的な施行時期は,十分な周知期間と準備期間を確保する観点から,2020(令和2)年4月1日とされましたが,定型約款については,施行日前に締結された契約にも,改正後の規定が適用されることが,改正法附則33条1項本文で規定されました。

 このことは,従来,約款による契約の成立要件等についての確立した見解がない状況で,改正債権法により新たに合理的な規律を設けたものであることから,約款により成立した契約の当事者に施行日以後に限定して一定の規律に服すればよいという期待があるとはいえないことによるものと説明されています。

 改正附則33条1項但し書及び同2項及び3項は,現行債権法の規定によって効力を生じた場合,解除権を行使することができる者を除いて施行日の前日までに書面で反対の意思表示をした場合について,例外を定めています。




遺留分減殺請求と登記

 不動産の登記名義人が亡くなった場合にどのような相続登記をするかについては,その相続の態様に応じてしかるべき登記手続をする必要があります。

 遺言がある場合にはそれに従って登記手続をすることになりますが,遺言の内容が特定の相続人の遺留分を侵害するものであった場合には,遺留分減殺請求がされることもあります。

 被相続人Aが遺言によって相続人Bに対して不動産,甲・乙・丙を相続させる,としていた場合に,他の相続人Cが遺留分減殺請求をして甲不動産の所有権を取得したケースではどのような登記申請をすべきかを考えてみましょう。

 まずBについては甲乙丙について●年●月●日相続を原因とする所有権移転登記をB単独で申請することができます。

 一方でCからの登記申請については二通りの登記申請が考えられます。

 一つ目のケースは既にAからBへの所有権移転登記が完了していた場合です。

 この場合には甲不動産について○年○月○日遺留分減殺を原因として所有権移転登記を申請することになりますが(昭和30年5月23日民甲973号),注意しなくてはならないのがこの場合にはCのみならず登記義務者としてBの協力が必要になる点です。

 Bの協力なしにCが単独で登記申請をするためには裁判,調停等の手続を経る必要があります。

 二つ目のケースはBの相続登記がいまだなされていない場合です。

 この場合Cは甲不動産について●年●月●日相続を原因とする所有権移転登記をC単独で申請することができます。

 実際には甲不動産の所有権はAからAの死亡日にBへ,Cからの遺留分減殺請求がBに到達した日にBからCへと移っているわけですが,登記簿上はAの死亡日付でAからCへ所有権が移転した,との公示がされることになります。

 なお,令和元年7月1日からは,遺留分に関する権利行使(遺留分減殺請求権という呼称から,「遺留分侵害額の請求」とされました。)の効果は,物権的効果は生じず,金銭債権は発生することとされます(改正民法1046条1項)。




司法書士法の改正

 現在,司法書士法の改正が検討されているようです。

 主な項目として,1人でも司法書士法人を設立可能となることのほか,司法書士の懲戒について7年間の除斥期間が定められることが検討されています。




名義貸与の依頼を承諾して自動車の名義上の所有者兼使用者となった者が運行供用者に該当するとされた事例(最高裁平成30年12月17日判決)

 自動車損害賠償保障法3条の「運行供用者」は、「運行支配」と「運行利益」の要素から判断する二元説が判例・通説とされています。

 運行支配は危険責任、運行利益は報償責任に対応すると説明されます。

 最高裁平成30年12月17日判決の事案は、生活保護を受けていたAはが、弟である被上告人に対して名義貸与を依頼し,被上告人が承諾、Aが本件自動車を購入し,所有者及び使用者の各名義を被上告人としたというものです。

 最高裁は、「被上告人は,Aからの名義貸与の依頼を承諾して,本件自動車の名義上の所有者兼使用者となり,Aは,上記の承諾の下で所有していた本件自動車を運転して,本件事故を起こしたものである。Aは,当時,生活保護を受けており,自己の名義で本件自動車を所有すると生活保護を受けることができなくなるおそれがあると考え,本件自動車を購入する際に,弟である被上告人に名義貸与を依頼したというのであり,被上告人のAに対する名義貸与は,事実上困難であったAによる本件自動車の所有及び使用を可能にし,自動車の運転に伴う危険の発生に寄与するものといえる。また,被上告人がAの依頼を拒むことができなかったなどの事情もうかがわれない。そうすると,上記2(3)のとおり被上告人とAとが住居及び生計を別にしていたなどの事情があったとしても,被上告人は,Aによる本件自動車の運行を事実上支配,管理することができ,社会通念上その運行が社会に害悪をもたらさないよう監視,監督すべき立場にあったというべきである。したがって,被上告人は,本件自動車の運行について,運行供用者に当たると解するのが相当である。」と判示し、運行供用者に該当する判断をしました。




前へ 1234567891011