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著作者人格権の相続

 著作者人格権は,財産権としての著作権と異なり,相続されないとされています。

 しかしながら,著作者の死後においても著作物の利用者は著作者が生きていたならば著作者人格権の侵害となるような行為をしてはならないとされています(著作権法60条。「著作者が存しなくなった」と規定し、自然人と法人の双方を考慮しています。)。

 また,著作者の遺族は,著作者人格権を侵害するような行為について,差止めや損害賠償,名誉回復の措置をとることができることとされています(著作権法116条)。




執行停止の要件

 行政行為について取消訴訟が提起された場合について,行政事件訴訟法は執行不停止原則を採用しています。

 したがって,行政行為の執行停止を求める場合には,執行停止の申立てを行い認容される必要があります。

 また,執行停止の申立てを行うには本案の取消訴訟が係属している必要がありますが,同日に申立てをすることも多いのではないかと考えられます。

 実務上は,執行停止の申立書に,別紙として訴状一式を提出することになりますが,執行停止の申立書には,「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」という積極要件と,「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」及び「本案について理由がないとみえるとき」という消極要件を意識した記載が必要となります。

 なお行政事件訴訟法26条1項は,「執行停止の決定が確定した後に,その理由が消滅し,その他事情が変更したときは,裁判所は,相手方の申立て,決定をもって,執行停止の決定を取り消すことができる」と規定していますが,「執行停止決定の取消し行われることは稀である。」,その理由として,「執行停止が認められる場合が厳格に制限されてきたことの反映とみることができる」(宇賀克也「行政法概説Ⅱ【第6版】300ページ」)と指摘されているところです。




放課後児童健全育成事業につき、子どもへの育成支援及び家庭への養育支援を促進するための制度の充実を求める意見書(日弁連)

 日本弁護士連合会が,平成31年2月14日に,標記の意見書を,内閣総理大臣,厚生労働大臣,文部科学大臣に提出しています(日弁連ホームページ)。




遺産分割前の預貯金債権の行使(改正民法909条の2)が可能な時期

 改正附則5条は,「新民法909条の2の規定は,施行日前に開始した相続に関し,施行日以後に預貯金債権が行使されるときにも,適用する。」と定めています。

 施行日(2019年7月1日)前に相続が開始した場合にも,施行日以後であれば,改正民法909条の2に基づく預貯金債権の行使が可能ということになります。




主な改正相続法の施行時期

 改正相続法の施行時期は,制度の周知期間や準備期間を確保するべき観点から,改正項目に応じて,それぞれ定められています。

 自筆証書遺言の方式緩和は2019(平成31)年1月13日,遺産分割等及び遺言執行者の権限の見直し,相続の効力と対抗要件制度,遺留分制度,特別寄与料についての定めは2019(令和元年)7月1日,配偶者居住権及び配偶者短期居住権は改正債権法の原則的な施行時期である2020(令和2)年4月1日とされています。

 なお,遺言書保管法は,2020(令和2)年7月10日に施行されることがきまっています。




定型約款規定の施行時期

 改正債権法により,いわゆる約款について定められました(定型約款について民法548条の2から548条の4)。

 改正債権法の原則的な施行時期は,十分な周知期間と準備期間を確保する観点から,2020(令和2)年4月1日とされましたが,定型約款については,施行日前に締結された契約にも,改正後の規定が適用されることが,改正法附則33条1項本文で規定されました。

 このことは,従来,約款による契約の成立要件等についての確立した見解がない状況で,改正債権法により新たに合理的な規律を設けたものであることから,約款により成立した契約の当事者に施行日以後に限定して一定の規律に服すればよいという期待があるとはいえないことによるものと説明されています。

 改正附則33条1項但し書及び同2項及び3項は,現行債権法の規定によって効力を生じた場合,解除権を行使することができる者を除いて施行日の前日までに書面で反対の意思表示をした場合について,例外を定めています。




遺留分減殺請求と登記

 不動産の登記名義人が亡くなった場合にどのような相続登記をするかについては,その相続の態様に応じてしかるべき登記手続をする必要があります。

 遺言がある場合にはそれに従って登記手続をすることになりますが,遺言の内容が特定の相続人の遺留分を侵害するものであった場合には,遺留分減殺請求がされることもあります。

 被相続人Aが遺言によって相続人Bに対して不動産,甲・乙・丙を相続させる,としていた場合に,他の相続人Cが遺留分減殺請求をして甲不動産の所有権を取得したケースではどのような登記申請をすべきかを考えてみましょう。

 まずBについては甲乙丙について●年●月●日相続を原因とする所有権移転登記をB単独で申請することができます。

 一方でCからの登記申請については二通りの登記申請が考えられます。

 一つ目のケースは既にAからBへの所有権移転登記が完了していた場合です。

 この場合には甲不動産について○年○月○日遺留分減殺を原因として所有権移転登記を申請することになりますが(昭和30年5月23日民甲973号),注意しなくてはならないのがこの場合にはCのみならず登記義務者としてBの協力が必要になる点です。

 Bの協力なしにCが単独で登記申請をするためには裁判,調停等の手続を経る必要があります。

 二つ目のケースはBの相続登記がいまだなされていない場合です。

 この場合Cは甲不動産について●年●月●日相続を原因とする所有権移転登記をC単独で申請することができます。

 実際には甲不動産の所有権はAからAの死亡日にBへ,Cからの遺留分減殺請求がBに到達した日にBからCへと移っているわけですが,登記簿上はAの死亡日付でAからCへ所有権が移転した,との公示がされることになります。

 なお,令和元年7月1日からは,遺留分に関する権利行使(遺留分減殺請求権という呼称から,「遺留分侵害額の請求」とされました。)の効果は,物権的効果は生じず,金銭債権は発生することとされます(改正民法1046条1項)。




司法書士法の改正

 現在,司法書士法の改正が検討されているようです。

 主な項目として,1人でも司法書士法人を設立可能となることのほか,司法書士の懲戒について7年間の除斥期間が定められることが検討されています。




名義貸与の依頼を承諾して自動車の名義上の所有者兼使用者となった者が運行供用者に該当するとされた事例(最高裁平成30年12月17日判決)

 自動車損害賠償保障法3条の「運行供用者」は、「運行支配」と「運行利益」の要素から判断する二元説が判例・通説とされています。

 運行支配は危険責任、運行利益は報償責任に対応すると説明されます。

 最高裁平成30年12月17日判決の事案は、生活保護を受けていたAはが、弟である被上告人に対して名義貸与を依頼し,被上告人が承諾、Aが本件自動車を購入し,所有者及び使用者の各名義を被上告人としたというものです。

 最高裁は、「被上告人は,Aからの名義貸与の依頼を承諾して,本件自動車の名義上の所有者兼使用者となり,Aは,上記の承諾の下で所有していた本件自動車を運転して,本件事故を起こしたものである。Aは,当時,生活保護を受けており,自己の名義で本件自動車を所有すると生活保護を受けることができなくなるおそれがあると考え,本件自動車を購入する際に,弟である被上告人に名義貸与を依頼したというのであり,被上告人のAに対する名義貸与は,事実上困難であったAによる本件自動車の所有及び使用を可能にし,自動車の運転に伴う危険の発生に寄与するものといえる。また,被上告人がAの依頼を拒むことができなかったなどの事情もうかがわれない。そうすると,上記2(3)のとおり被上告人とAとが住居及び生計を別にしていたなどの事情があったとしても,被上告人は,Aによる本件自動車の運行を事実上支配,管理することができ,社会通念上その運行が社会に害悪をもたらさないよう監視,監督すべき立場にあったというべきである。したがって,被上告人は,本件自動車の運行について,運行供用者に当たると解するのが相当である。」と判示し、運行供用者に該当する判断をしました。




仲立人の氏名黙秘義務と介入義務

 商取引においては、商人が氏名や名称を黙秘する必要性がある場面が想定できることから、商法548条は、当事者が相手方に氏名や名称を示さないように仲立人に命じたときには、仲立人は従うべきことを規定しています。

 この場合には、結約書や仲立人日記帳の謄本にも、氏名や名称を記載できないこととされます。

 なお、仲立人による媒介により契約が成立してからも氏名黙秘義務を認めている点については、疑問も指摘されています。

 また、商法549条は、仲立人が当事者の一方の氏名や名称を隠して媒介を行った場合には、仲立人は成立した契約を自ら履行する義務(介入義務)を負うことを規定しています。

 匿名の当事者が契約上の債務を負担するのが本来ですが、仲立人が氏名や名称を開示しても、介入義務がなくなるものとは解されていないようです。

 この介入義務については、仲立人の資力が乏しい場合が多いことを理由に実益のある規定とは思われない旨の指摘もされています。

〈商法〉

第五章 仲立営業
(定義)
第543条 この章において「仲立人」とは、他人間の商行為の媒介をすることを業とする者をいう。
(当事者のために給付を受けることの制限)
第544条 仲立人は、その媒介により成立させた行為について、当事者のために支払その他の給付を受けることができない。ただし、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときは、この限りでない。
(見本保管義務)
第545条 仲立人がその媒介に係る行為について見本を受け取ったときは、その行為が完了するまで、これを保管しなければならない。
(結約書の交付義務等)
第546条 当事者間において媒介に係る行為が成立したときは、仲立人は、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面(以下この章において「結約書」という。)を作成し、かつ、署名し、又は記名押印した後、これを各当事者に交付しなければならない。
一 各当事者の氏名又は名称
二 当該行為の年月日及びその要領
2 前項の場合においては、当事者が直ちに履行をすべきときを除き、仲立人は、各当事者に結約書に署名させ、又は記名押印させた後、これをその相手方に交付しなければならない。
3 前2項の場合において、当事者の一方が結約書を受領せず、又はこれに署名若しくは記名押印をしないときは、仲立人は、遅滞なく、相手方に対してその旨の通知を発しなければならない。
(帳簿記載義務等)
第547条 仲立人は、その帳簿に前条第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
2 当事者は、いつでも、仲立人がその媒介により当該当事者のために成立させた行為について、前項の帳簿の謄本の交付を請求することができる。
(当事者の氏名等を相手方に示さない場合)
第548条 当事者がその氏名又は名称を相手方に示してはならない旨を仲立人に命じたときは、仲立人は、結約書及び前条第2項の謄本にその氏名又は名称を記載することができない。
第549条 仲立人は、当事者の一方の氏名又は名称をその相手方に示さなかったときは、当該相手方に対して自ら履行をする責任を負う。
(仲立人の報酬)
第550条 仲立人は、第546条の手続を終了した後でなければ、報酬を請求することができない。
2 仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する。




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