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離職票の離職理由欄

離職票の⑦離職理由欄の項目は以下のとおり、かなり細かい分類がなされています。

雇用関連の助成金への影響なども考慮しながら、慎重な対応が求められる場合があります。

 4 事業主からの働きかけによるもの

 ⑴ 解雇(重責解雇を除く。)

 ⑵ 重責解雇(労働者の責に帰すべき重大な理由による解雇)

 ⑶ 希望退職の募集又は退職勧奨

  ① 事業の縮小または一部休廃止に伴う人員整理を行うためのもの

  ② その他(理由を具体的に                )

5 労働者の判断によるもの

 ⑴ 職場における事情による離職

  ① 労働条件に係る問題(賃金低下、賃金遅配、時間外労働、採用条件との相違等)があったと労働者が判断したため

  ② 事業主または他の労働者から就業環境が著しく害されるような言動(故意の排斥、嫌がらせ等)を受けたと労働者が判断したため

  ③ 妊娠、出産、育児休業、介護休業等に係る問題(休業等の申出拒否、妊娠、出産、休業等を理由とする不利益取扱い)があったと労働者が判断したため

  ④ 事業所での大規模な人員整理があったことを考慮した離職

  ⑤ 職種転換等に適応することが困難であったため(教育訓練の有・無)

  ⑥ 事業所移転により通勤困難となった(なる)ため(旧(新)所在地:           )

  ⑦ その他(理由を具体的に                  )

 ⑵ 労働者の個人的な事情による離職(一身上の都合、転職希望等)




就業規則の定めと解雇の制限

 就業規則に記載していない事由による解雇の可否については、限定列挙説、例示列挙説の対立があるとされています。

 例示列挙説によった場合には、列挙されていない事由による解雇は解雇権濫用の評価に結び付くという指摘もあります。

 実務上は、「その他前各号に掲げる事由に準ずる事由」という包括的な条項、あるいは、さらに包括的と考えられる「当社の従業員としての適格性がないとき」等を就業規則に定めることによって対応しているケースが大半で、弁護士として就業規則を作成するときにもこのような条項を規定しています。

 なお、解雇権濫用禁止の法理を定めた労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定し、有期契約に関する労働契約法17条は「やむを得ない事由」を要求しており、16条よりも厳格な規制がなされています。




少数株主による譲渡承認請求の対応

 いわゆる少数株主からの譲渡制限のついた株式の譲渡の承認請求や株式の買い取り請求が行われた場合の会社の対応の概要は以下のとおりです。

 まず、株主が会社にいきなり株式の買取請求を行うことはできません

 株主が、第三者に株式の譲渡を行うことについて承認請求をしたが会社が承認しない場合に、当該株主は、会社または会社が指定する者(指定買取人)が買い取るよう請求することができることになります。

したがって、会社が株式の譲渡の承認をしない場合には、会社か指定買取人が買取をする必要が生じることになります。

 




解雇予告手当の論点

 いわゆる解雇予告手当に関して、使用者が即時解雇をした場合でも使用者が即時解雇に固執する趣旨ではない場合、即時解雇の意思表示後30日を経過すれば解雇の効力を生じることになるという相対的無効説が判例の考え方とされています(最高裁昭和35年3月11日判決)。

 しかしながら、上記相対的無効説を前提とした場合に、解雇された労働者は、上記30日の期間について、①解雇予告手当請求権を取得するのか、②同期間中は労働契約が継続していることから労務の提供を条件に賃金請求権を取得することになるのか、③上記各請求権の両方を取得するかという論点があります。

 解雇予告手当と賃金の金額は異なることが通常であることから、実務上問題となりえます。

 ②、③に関連して、労務の提供をしなくても賃金請求を取得することはあり得るかも論点となります。

 また、解雇予告が不要となる場合としての行政官庁の認定(除外認定)について、労基法20条3項、19条2項は、即時解雇する場合には行政官庁の認定を受けなければならない旨規定していますが、上記認定は、行政官庁が解雇予告の除外事由に該当する事実が存在するか否かを確認する行為であって、解雇の効力発生要件ではないと一般に考えられていることにも注意が必要です。

 さらに平均賃金の計算方法についてもいくつかの方法があることについても、労働事件を扱う弁護士は知っておく必要があります。

 なお、学説上は、労働者は解雇無効の主張をするか解雇有効を前提に予告手当の請求をするか選択できるとする選択権説が有力に主張されています。




WEB期日導入の影響

 裁判所は、いわゆるWEB期日としてTEAMSを利用した書面による準備手続きにより、審理を進行することが昨年から多くなりました。

 私の経験でも、金沢地裁や東京地裁に昨年から今年にかけて係属した事件でも、一度も出頭することなくWEBや電話を利用した進行により、終結しました。

 WEB期日の導入により、移動時間を考慮する必要性がなくなったことから、別々の裁判所に係属している事件でも、例えば30分おきに予定を入れることも可能となったことは、訴訟案件を多く有する弁護士にとっては大きなメリットといえます。

 一方で、高等裁判所では、電話による審理は行われますが、WEB期日が導入されていないことは留意しておくべきことといえると思います。 

 また、WEB期日は当然事務所のパソコンを使って参加することになるため、その30分後に同じ裁判所の出頭を要する期日を入れることができないことは注意が必要です。

 WEB期日は、労働審判でも利用されるなど、地方裁判所においてはかなり広く利用されています。




 犯人が他人を教唆して自己を蔵匿させ又は隠避させる行為と刑法103条の罪の教唆犯の成否について判断した最高裁令和3年6月9日判決

 犯人が他人を教唆して自己を蔵匿させ又は隠避させた場合に、刑法103 条の罪の教唆犯が成立するかについて学説上は争いがありますが、成立するとするのが最高裁の立場であり、今回の最高裁もその旨判示しました。

 刑法学が専門で東京大学名誉教授であり、いわゆる弁護士枠で最高裁判事に就任したとされる山口厚裁判官が、犯人に犯人隠避・蔵匿罪の教唆犯が成立するべきではないことについて、以下のとおり、反対意見を述べています。

「刑法103条は、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者(以下「犯人」という。)が自ら行う蔵匿・隠避行為を処罰の対象としていない。それは、犯人が自ら逃げ隠れしても「蔵匿」したとはいわないし、「隠避させた」という要件は犯人隠避罪に該当する行為を行う者が犯人以外の者であることを前提としていると理解できるからである。このように、犯人による自己蔵匿・隠避行為は同条が定める構成要件に該当していない。この理由として、原判決のように、それらの行為も同条の規定が保護する刑事司法作用に侵害を与え得るものではあるものの、犯人の刑事手続における当事者性を考慮して政策的に処罰を限定したものであるなどと説明されることがあるが、このような処罰の政策的な限定を理論的に表現したものが、「犯人には期待可能性が認められない。」とする説明である。当審判例は、犯人が他人を教唆して、自らを蔵匿・隠避させた場合は、処罰を限定する上記立法政策の射程外であり、教唆犯として処罰の対象となるとしてきた。それを支える根拠・理由として幾つかのことが指摘されているが、犯人が一人で逃げ隠れするより、他人を巻き込んだ方が法益侵害性が高まるとの指摘がされることがある。このこと自体には理由があると考えられるが、他人の関与により高められた法益侵害性は、教唆された正犯者を処罰することによって対応し得るものであり、法益侵害性の高まりから犯人を教唆犯として処罰すべきことが直ちに導かれるわけではない。結局、正犯としてではなく、教唆者としては犯人を処罰の対象とし得ると解することは、「正犯としては処罰できないが、教唆犯としては処罰でき る」ことを認めるものであり、この背後には、「正犯は罪を犯したことを理由として処罰され、教唆犯は犯罪者を生み出したことを理由として処罰される。」といういわゆる責任共犯論の考え方が含まれ、犯罪の成否を左右する極めて重要な意義がそれに与えられているように思われる。このような共犯理解は、他人を巻き込んだことを独自の犯罪性として捉え、正犯と教唆犯とで犯罪としての性格に重要な差異を認めるものであり、相当な理解とはいえないであろう。なぜなら、正犯も教唆犯も、犯罪結果(法益侵害)と因果性を持つがゆえに処罰されるという意味で同質の犯罪であると解されるからである。このような共犯理解によれば、正犯が処罰され ないのに、それよりも因果性が間接的で弱く、それゆえ犯罪性が相対的に軽い関与形態である教唆犯は処罰されると解するのは背理であるといわざるを得ない。」

 この山口裁判官の指摘が理論的に正しいと思われ、最高裁の今回の判断は残念な印象です。




仮想通貨の大暴落と暗号資産(仮想通貨)交換業者の対応

 いわゆる仮想通貨は、通貨という側面よりは投資の対象と考えられらることも多いと思います。

 弁護士が取り扱う業務との関係では、相続や財産分与、倒産手続き時の評価や税務上の処理で問題となることがあります。

 仮想通貨が暴落している局面では、できるだけ早期に売却したいという方もいれば、できるだけ早期に購入したいという方もいると思います。

 暗号資産取扱業者のサイトがダウンし、取引ができなくなってしまった場合の法的な責任は悩ましい問題だと思います。




社債に利息制限法は適用されるか(最高裁令和3年1月26日判決)

 社債に利息制限法が適用されるかについては、従来から議論がありました。

 社債への利息制限法の適用が一律に適用されると、指数連動債や利益参加社債等の商品性が失われるという指摘もあったところです。

 破産した会社の破産管財人弁護士が、当該会社が発行した社債についての社債権者に利息制限法1条所定の制限を超えて利息として支払った金額を元本に充当すると過払金が発生していると主張して,不当利得返還請求権に基づき,過払金の返還等を求めた事案において、最高裁令和3年1月26日判決は、原審が事実関係のいかんにかかわらず,社債には利息制限法1条の規定は適用されないと判示したのに対し、「債権者が会社に金銭を貸し付けるに際し,社債の発行に仮託して,不当に高利を得る目的で当該会社に働きかけて社債を発行させるなど,社債の発行の目的,募集事項の内容,その決定の経緯等に照らし,当該社債の発行が利息制限法 の規制を潜脱することを企図して行われたものと認められるなどの特段の事情がある場合には,このような社債制度の利用の仕方は会社法が予定しているものではないというべきであり,むしろ,上記で述べたとおりの利息制限法の趣旨が妥当する。 そうすると,上記特段の事情がある場合を除き,社債には利息制限法1条の規定 は適用されないと解するのが相当である。」と判示しました。

  社債の会社法上の規制、すなわち、社債は,会社が募集事項を定め,会社法679条所定の場合を除き,原則として引受けの申込みをしようとする者に対してこれを通知し(同法677条1 項),申込みをした者の中から割当てを受ける者等を定めることにより成立するものである(同法677条2項,3項,678条,680条1号)ことや,会社が定める募集事項の「払込金額」と 「募集社債の金額」とが一致する必要はなく,償還されるべき社債の金額が払込金額を下回る定めをすることも許されると解される(同法676条2号,9号参照) などの点や、金融商品取引法上の規制、すなわち、金融商品取引法2条1項に規定する有価証券として同法の規制に服することにより,その公正な発行等を図るための措置が講じられている点などが理由として挙げられています。




改正個人情報保護法16条の2(不適正な利用の禁止)

 個人情報保護法が改正され、原則として令和4年4月1日に施行されます(同法83条から87条の法定刑の引き上げについては、令和2年12月12日から施行されています)。

 同法16条の2により、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法で個人情報を利用するこが禁止されることになりました。

 立法の背景には、官報公告を利用してインターネット上の地図と破産者の氏名等を関連付けて公開した破産者マップの事件や、類似のサイトの問題が発生したことが挙げられ、規制対象として、①差別を誘発する利用方法、②違法な行為を営むことが疑われる者への個人情報の提供、③不当要求対策のための反社会的勢力等の名簿の開示などが具体例として挙げられていますが、同条が、「不当な」行為も含めていることから、規制範囲が広範になる可能性もあり、相談を受ける弁護士としては注意が必要です。

 なお、「送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合」に公示送達をすることができる旨の改正もなされました(改正個人情報保護法58条の4第1項1号)。




いわゆる「同一労働同一賃金」の法的意味

 日本で導入された正規・非正規の格差是正のための同一労働同一賃金ガイドラインや、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条による法的規制は、①賃金に限られないすべての労働条件に関するものであること、②通勤手当や福利厚生施設の利用等においては「同一労働」ではなくても同一扱いをするべきか議論されるべきこと、③そもそも「同一労働」を要件とすることなく不合理な労働条件の相違を禁止しようとする内容であること等から、法的には誤解を招く表現であると考えられます。

 正確には「不合理な相違禁止規制」とも呼ぶべきだと考えられますが、令和2年10月に出された5つの最高裁判決を踏まえた短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律対応を内容とする最近出版された弁護士執筆の実務書のタイトルは、「最新同一労働同一賃金27の実務ポイントー令和3年4月完全施行対応ー」(新日本法規)、「同一労働同一賃金対応の手引き(第2版)」というように、スローガン的な分かりやすさを重視したものになっています。

 なお、ジュリスト最新号の特集名は「正規・非正規の不合理な待遇格差とはー5つの最高裁判例を契機に」となっています。

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条(不合理な待遇の禁止)

 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。




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