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労働判例百選第10版には令和2年10月の同一労働同一賃金に関する最高裁5判例が掲載されていない。

 弁護士業務で労働事件を扱うので、最近出された労働判例百選第10版を買いました。

 ざっとみたところ、平成30年に出されたハマキョウレックス事件は4ページにわたり掲載されていましたが、令和2年10月に出された大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件、日本郵便に関する3事件は掲載されていません。

 司法試験受験生は法律雑誌の特集記事や重要判例解説、判決文の確認が必要ですね。




令和4年4月1日施行令和3年改正少年法のポイント

 令和4年4月1日から、令和3年改正少年法が施行されます。

 ポイントは以下のとおりです。

1 18歳、19歳の少年を特定少年と定義すること

 改正少年法は、「20歳に満たない者」という少年について実質的な定義(少年法2条1項)を変更せず、18歳、19歳の少年も少年法の適用があることに変更はありません。

 しかし、特定少年として「18歳以上の少年」と定義し(改正少年法62条1項)、特定少年の特別扱いを定める構成をしています。

 なお、川出敏裕「改正少年法について」(法律時報2022号2月号)によると、18歳19歳の非行少年に少年法を適用していた従来の運用が、当該非行少年の改善教育と再犯防止に有効に機能していたことは、法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会内において、意見の一致があったとのことです。

 特定少年の特別扱い(少年法では「特定少年の特例」と規定されています。)として、①原則検察官送致、いわゆる逆送対象事件の拡大、②保護処分は、「犯罪の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内」で行うこととし、ぐ犯を理由とする保護処分を行わないこと、③刑事処分を理由とする逆送決定後は少年法が定める特例は原則として適用されないこと、④公判請求された場合、いわゆる推知報道が解禁されることが規定されました。

 以下、①、②、④について若干コメントします。

2 ①検察官送致の特例

 特定少年については、罰金以下の刑に当たる罪の事件も逆送が可能となり(少年法62条1項)、原則逆送事件として故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で16歳以上の少年に係るもののほか、死刑または無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件で、犯行時特定少年だった場合が追加されています。

 これにより、強盗や建造物等以外放火などの犯情の幅のひろい類型が含まれることになります。

 付添人活動を行う弁護士としては、付帯決議において「新たに原則逆送の対象となる罪の事件には様々な犯情のものがあることに鑑み、家庭裁判所が同決定をするに当たっては、きめ細かな調査及び適正な事実認定に基づき、犯情の軽重及び要保護性を十分に考慮する運用が行われるよう本法の趣旨の周知に努めること。」とされています。

3 ②ぐ犯

 ぐ犯の立件は少なく、うちの事務所での取り扱いもわずかですが、17歳以下の時期のぐ犯でも、特定少年に達すると手続をすすめることができなくなることから、付添人活動に大きな影響がでることが予想されますし、「切迫」の場合には、そもそもぐ犯での立件自体が事実上抑制されるのかもしれません。

4 ④推知報道の解禁

 特定少年の公正と報道の自由、表現の自由等の調整の観点から、政策的判断として特定少年のときに犯した事件について、公判請求された場合には、その時点から推知報道の禁止を解除することとされました(少年法68条)。

 犯行時に18歳未満であれば、推知報道は解除されないことは確認しておく必要があります。

5 その他(付添人選任権者の範囲拡大)

 改正前は、少年と保護者のみでしたが、少年の法定代理人、保佐人、配偶者、直系親族、兄弟姉妹も選任権者とされています。

 成年年齢引下げに関する民法改正を受けて、特定少年は親権から離脱し法律上の保護者(少年法2条2項)がいなくなり、付添人選任権者の範囲が狭くなりすぎることを踏まえての改正で、弁護士として少年事件についての委任契約をするときに関係してきそうです。




民事訴訟マニュアル(上)(下)の改訂

 民事訴訟、民事手続き一般に関する実務書は複数ありますが、岡口裁判官の民事訴訟マニュアルがコンパクトにまとまっており、まず参照することが多いので、改訂の都度購入しています。

 裁判官が著者のものとして、門口裁判官の「民事裁判の要領 裁判官の視点」も参考になります。

 弁護士によるものとして、圓道至剛弁護士の「企業法務のための民事訴訟の実務解説〔第2版〕」、京野哲也弁護士の「クロスレファレンス民事実務講義〔第3版〕」もよく参照します。

 そのほかに、中村直人弁護士の「訴訟の心得 円滑な進行のために」、岡口裁判官と中村真弁護士の「裁判官!当職そこが知りたかったのです。民事訴訟がはかどる本」も参考になります。




私生活上の非違行為の懲戒処分

 職務に関連する犯罪行為と異なり、ただちに懲戒処分の対象になるわけではないというのが基本的な考え方ですが、企業秩序に直接の関連を有する行為や会社の社会的評価の低下、毀損によって会社の円滑な運営に支障を来すおそれがある行為について懲戒処分の対象になると考えられます。

 実務上よく問題になるのが飲酒運転についてのもので、トラック会社等の従業員に関する裁判例が複数あります。

 東京高判平成15年12月11日判決は、鉄道会社の従業員が痴漢で複数回有罪判決を受けた従業員に対する懲戒解雇は有効としたものの、退職金全額の不支給は無効と判断しています。




課税処分に関する不服申立前置主義

 課税処分を争う取消訴訟を行うには、再調査の請求、審査請求の手続きを経る必要がある不服申立前置主義が採用されています。

 不服申立前置主義制度を採用することにより、裁判上の救済遅延が生じることは否定できませんが、3か月経過しても裁決がなされない場合には裁判所に訴訟提起することができること(国税通則法115条1項1号)等や、不服申立手続きを経た後の裁判所に対する訴訟提起を行うことを認めていることから、一般に憲法32条に違反しないと考えられています。

 不服申立前置主義を採用せず、自由選択主義を採用すると、いきなり裁判所に訴訟を提起する納税者も相当程度存在することは容易に想像できます。

 このことは、不服申立手続きによって解決することができた争訟や、不服申立手続きによって解決に至らなくても効率的な争点整理ができていたはずの争訟がいきなり裁判所に持ち込まれることを意味し、裁判所の負担が増大することになります。

 租税に関する争訟は、複雑かつ専門的であり、租税法に精通した知識や実務経験を積んだ人材により裁判の前に審理を行わなければ、裁判所が注力するべき事件・論点に時間を割くことができず、国全体としての紛争解決の効率が著しく低下することも考えられます。

 租税に関する争訟が現実に大量に発生していることや、審査請求を審理する国税不服審判所は、国税庁の特別の機関として、執行機関である国税局や税務署から分離された別個の機関として設置されており、また、税理士や弁護士、公認会計士などの民間の専門家も採用されていること、また、課税処分の根拠となった法令の解釈や通達が問題となる場合、国税不服審判所長があらかじめ国税長官に意見を通知して通達と異なる裁決をすることができる制度(国税通則法99条)もあるなど、中立公正な判断が一定程度期待できると考えられます。

 不服申立手続きにより最終的に解決がなされない場合も当然ありますが、不服申立手続きにおいて行われた争点整理により、裁判所は、効率的な審理を行うことができ、裁判所の負担軽減につながることになります。




WEB会議による家事調停期日

 一般民事事件で採用されているTeamsではなく、もちろんZOOMでもなく、CiscoWebexMeetngsが採用されたようです。

 弁護士としては、早く、支部や高等裁判所でもWEB会議による期日が実施されることを望みます。




略式裁判

 

 略式裁判とは、検察官の請求により、簡易裁判所の管轄に属する100万円以下の罰金又は科料に相当する事件について、被疑者に異議のない場合、正式裁判によらないで、検察官の提出した書面により審査する裁判手続です。
 実務では、正式裁判で行われる公判廷での手続きと対比して、略式請求とか略式罰金と呼ばれています。
 簡易裁判所において、略式命令が発せられた後、略式命令を受けた者(被告人)は、罰金又は科料を納付して手続を終わらせるか、不服がある場合には、略式命令を受け取ってから14日間以内に正式裁判を申し立てることができます。

 




金子宏「租税法(第24版)」(弘文堂)

 もうすぐ出るようです。

 通常の弁護士業務・税理士業務のほか、名古屋税理士会調査研究部や名古屋青年税理士連盟の活動、税法学会の予習などでよく参照する文献であり、改定のたびに購入しています。

 今年は、水野忠恒先生の「体系租税法(第3版)」も購入しました。




被相続人が居住建物の一部を第三者に賃貸していた場合の配偶者居住権の扱い

 被相続人が居住建物の一部を第三者に賃貸していた場合でも、配偶者は配偶者居住権を取得することが一般に可能と考えられています。

 居住建物の所有者と配偶者居住権を取得した配偶者は、第三者に賃貸されている部分も含めて、居住建物の全部について使用及び収益をすることができる権利を取得すると考えることになる。

 一方で、建物の引渡しが建物賃貸借の対抗要件となるので(借地借家法31条)、通常、配偶者居住権を取得した配偶者は、その賃貸人に対しては、配偶者居住権による使用収益関係を対抗することができないことになります。

 賃借人は、賃貸人たる地位を承継した居住建物の所有者に対して賃料を支払うことになるものと考えられます。




高知放送事件(最判昭和52年1月31日)の事実関係

 高知放送事件最高裁判例の事実関係は、最高裁の以下の摘示から確認できます。

「被上告人は、上告会社の編成局報道部勤務のアナウンサーであつたところ、(1)昭和42年2月22日午後6時から翌23日午前10時までの間ファツクス担当放送記者Cと宿直勤務に従事したが、23日午前6時20分頃まで仮眠していたため、同日午前6時から10分間放送されるべき定時ラジオニユースを全く放送することができなかつた(以下「第一事故」という。)、(2)また、同年3月7日から翌8日にかけて、前同様Dと宿直勤務に従事したが、寝過したため、8日午前6時からの定時ラジオニユースを約5分間放送することができなかつた(以下「第二事故」という。)、(3)右第二事故については、上司に事故報告をせず、同月14、5日頃これを知ったE部長から事故報告書の提出を求められ、事実と異なる事故報告書を提出した、そこで、上告会社は、被上告人の右行為は就業規則所定の懲戒事由に該当するので懲戒解雇とすべきところ、再就職など将来を考慮して、普通解雇に処した」

 弁護士にとっては、解雇権濫用法理を示した最高裁判例として有名ですが、上記の最後の引用部分のとおり、懲戒解雇事由に該当する場合に普通解雇ができることを判示した最高裁判例でもあります。




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