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翻案と二次的著作物

 著作権法2条1項11号は、二次的著作物について、「著作物を・・・翻案することにより創作した著作物をいう」と規定しています。

 江差追分事件(最高裁平成13年6月28日判決)は、翻案について、「既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう」としています。

 具体的表現に変更等が加えられていても創作的な表現でなければ翻案とはいえず、複製の範囲にとどまるということになります。




愛知県迷惑行為防止条例(平成31年1月1日施行)

 いわゆる愛知県の迷惑防止条例が改正,施行されています。

 改正の理由は,「県内におけるストーカー事案は、年々増加しておりますが、その中には、ストーカー行為を敢行していながら恋愛感情を否定し、ストーカー規制法の適用を免がれようとする事案や、そもそも恋愛感情を伴わない妬み、恨みなどの悪意の感情から外形的にはストーカー行為と同様のつきまとい、押し掛け等の行為を執拗に繰り返す陰湿な事案も発生しておりますが、こうした行為に対し規制する法令がありませんでした。また、痴漢、のぞき見、盗撮及び卑わいな言動の検挙件数は、高止まりの状態が続いており、さらには、小型薄型で高性能なスマートフォンの普及等により、盗撮被害が、学校、事務所、さらには住居の浴室、トイレ等、プライベートな場所においても発生するなど、条例では規制されなていない場所にまで及んでおりました。こうした現状を踏まえ、県民生活の安全、安心を確保するために、この度、本条例が改正されることとなりました。」とされています。

 条例の名称が変更されていますので,弁護人選任届の罪名の記載にも注意が必要です。

 




AIを利用したソフトウェアが第三者に損害を与えた場合

 ユーザーから提供を受けたデータをもとに,AI技術を用いて開発したソフトウェアが,第三者に損害を与えた場合の責任の主体を特定することはかなり困難であることが予想されます。

 提供を受けたデータに原因があるのか,プログラムに起因するのかの判断が事実上難しいと考えられるからです。

 このような事態についての責任分担を適切に規定した契約を締結できなければ,ユーザーとソフトウェアベンダーとの契約は,交渉段階で不成立となってしまうことも容易に考えられるところです。




保釈保証金の納付

 保釈の申請が通った場合,定められた保釈保証金,いわゆる保釈金を裁判所に納付する必要があります。

 数百万円の現金を,名古屋地裁,岐阜地裁(いずれも本庁)へ持参して納付した経験があります。

 いわゆる否認事件で,保釈の申請が認められた経験もあります。




前払式特定取引

 割賦販売法には,前払式特定取引として,①割賦・前払いによる商品の売買の取次ぎ,及び,②割賦前払いによる指定役務の提供の2種類の定めがあります。

 ①は,指定商品に限定されない商品の売買の取次ぎであって購入者にに対する商品の引渡しに先立って購入者から商品の代金の全部または一部を2カ月以上にわたり,かつ,3回以上に分割して受領するもので,百貨店等でみられる「友の会」が具体例として挙げられます。

 ②は,指定役務の提供,又は,指定役務の提供をすることもしくは指定役務の提供を受けることの取次ぎであって,指定役務の提供を受ける者から対価の全部または一部を2カ月以上にわたり3回以上に分割して受領するもので,冠婚葬祭などの「互助会」を具体例としてあげることができます。

 前払式特定取引においては,業者の許可制,営業保証金の供託,及び,前受金保全措置が定められています。




金子租税法第23版

 もうすぐ出るようです。




受託者と任意後見人の兼任の是非

 高齢者の財産管理や財産承継対策として家族信託を検討するべき場面が増えてきましたが,信託の設定のみですべての場面に対応が可能な場合はむしろ例外的であり,例えば,身上監護の観点から任意後見の併用をするべき場合もあります。

 信託に加えて任意後見の併用を行う場合には,受託者と任意後見人の兼任が可能なのか,適切なのかについて悩ましい事案もあります。

 受託者が受益者に対して給付を行う行為は受託者と受益者との間で利害は一致していることから,受託者と任意後見人が同一人物であっても直ちに利益相反になるわけではなく,ほかに適任者がいない場合には受託者と任意後見人を兼任せざるをえない場合もありますし,受託者と任意後見人の兼任により効率的な事務処理が可能という点を指摘できる一方で,受託者兼任意後見人に対する監督が不十分となり,濫用の恐れに適切に対応できないことも考えられます。

 受託者は受益者代理人にはなれないことが信託法144条・124 条2号に規定されていますが,任意後見人の法律上の位置づけとしては受益者の代理人に準じる立場といえるのであり,兼任するべきかについては慎重にするべきとはいえます。

 なお,兼任しない場合に,受託者と任意後見人の方針が一致せず,デッドロックになりうる場面(信託財産の自宅不動産を売却して施設に入所する時期など)も想定されることから,信託を提案する弁護士としては,事案ごとの検討が求められることは間違いないと思います。




信託能力を考える視点

 いわゆる民事信託・家族信託を設定する場合,委託者の判断能力,すなわち,信託を有効に設定する能力があるかについての検討が必要となります。

 基本的な発想としては,信託の内容に応じて,遺言能力を判断する際の要素が参考にされるべきです。

 弁護士が遺言能力を検討する際に参照することの多い, 土井文美裁判官の「遺言能力(遺言能力の理論的検討及びその判断・審理方法)」(判 タ1423号・15ページ~)では,① 遺言者の年齢 ② 病状を含めた心身の状況及び健康状態とその推移 ③ 発病時と遺言時との時期的関係 ④ 遺言時及びその前後の言動 ⑤ 日頃の遺言についての意向 ⑥ 受贈者との関係 ⑦ 遺言の内容 等の要素を評価根拠事実と評価障害事実とに分類した上で総合考慮して判断するとされています。




支配人の意義

 商法21条1項及び会社法11条1項の支配人の意義について、通説的見解は、商人・会社から営業に関する包括的な代理権、すなわち、一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を与えられた使用人をさすと考えています。

 通説的見解に対しては、取引をしようとする相手方が当該使用人の代理権の制限をその都度確認する必要があるという点で支配人制度の意義がなくなることになります。

 このような観点から、支配人の意義を商人・会社により本店または支店の営業の主任者である地位に選任された使用人と考えるべきとする有力説が主張されています。

 有力説からは、営業主の意思に関係なく、「支配人」は、商法21条1項・3項あるいは会社法11条1項・3項の代理権を有することになる。

 なお、商法25条・会社法14条は、「ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人」を規定しており、代理権の範囲が限定されているが、裁判上の行為を除く当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する点、代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できない点は、支配人の規定と同様です。




受託者の公平義務と民事信託

 信託法33条は,「受益者が二人以上ある信託においては,受託者は,受益者のために公平にその職務を行わなければならない。」と,いわゆる受託者の公平義務を定めています。

 以下のような民事信託の事例で,受託者の公平義務が議論されています。

 収益物件を信託財産とし,受託者が同物件の売却権限を有すること,一次受益者の生きている間は同物件からの収益を分配し,一次受益者がなくなった後は二次受益者に残余財産を分配するという受益者連続信託を想定した場合,同物件の価値の下落との関係で,受託者による同物件の売却のタイミングによっては,片方の受益者を害すると評価でき得る。

 信託の目的などを適切に設定することにより,受託者の権限行使に不当な負担がかからないような工夫が必要と考えられます。




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