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女性の再婚禁止期間が撤廃できた嫡出推定の規律の変更

 改正前民法733条は、再婚禁止期間を定めていました。

 最高裁平成27年12月16日判決が出される前は、6か月とされていましたが、同最高裁は、嫡出推定の重複を回避するために必要な期間の限度でしか正当性を有しないと判断されたことにより、平成28年6月に成立した改正法以降は、100日とされていました。

 令和6年4月1日施行の改正民法では、嫡出推定の重複によって父が定まらない事態が生じることはなくなり、女性の再婚禁止期間を廃止することができることになったという流れです。

 嫡出推定に関する主な変更点は以下のとおりです(嫡出推定に関する改正は、いわゆる無戸籍者問題への対応策として検討されたものです)。

 婚姻成立から200日以内に生まれた子(妻が婚姻前に懐胎し婚姻成立後に出生した子)に嫡出推定がなされる。

※ 改正前の「推定されない嫡出子」について、嫡出推定がなされることになりました。

 母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定される。

※ 婚姻の解消・取消しから300日以内に出生した子に嫡出推定がなされる改正前の規律は維持しつつ、再婚した場合に例外の扱いとして、再婚後の夫の子と推定される規律が導入されたことになります。

 上記とともに、嫡出否認に関する否認権者の拡大(子や母、再婚後の夫の子と推定される子について前夫)や出訴機関の延長が導入されたことも弁護士は確認しておく必要があります。

 なお、子自身による否認権行使に関する改正民法778条の2第2項は、子が父と継続して同居した期間が3年を下回る場合に、子が21歳に達するまでの間に行使することができることが定められました(父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害さない場合という要件が定められています。)。