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NISA、iDeCoの違いと活用のポイント

 NISAは、日本版ISAの略で、イギリスのISAを参考に平成26年1月1日から施行されており、少額投資非課税制度とも呼ばれています。令和5年までのNISA(「旧NISA」といいます。)は、つみたてNISA、一般NISA、未成年を対象とするジュニアNISAがありました。令和6年から始まった新NISAでは、つみたて投資枠、成長投資枠に統合されましたが、全体としては大幅に拡充されました。

 iDeCoは、individual-type Defined Contribution pension planの略で、一般に、個人型確定拠出年金と呼ばれています。公的年金(国民年金・厚生年金)とは別の私的年金の位置づけの制度です。

 通常、株式や投資信託などの金融商品から得た利益に対しては20.315%の課税(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)がされますが、NISA、iDeCoとも、運用時に得た利益には課税されません。

 iDeCoでは、積立時において、積立額・掛金が所得控除され、所得税・住民税を軽減することができますが、原則60歳以降にしか受け取れないという制約があります。受取り時には、「退職所得控除」、「公的年金等控除」の適用を受け、一定金額までは非課税となります。余剰資金を強制的に積立できるという意味でプラスにとらえることも可能です。

 NISAでは、受取時にも課税がされません。

 しかしながら、あくまで投資によって利益が発生した場合に課税されないという制度ですので、元本割れのリスクや、損益通算ができないというのは、忘れてはいけないデメリットといえるでしょう。

 新NISAには、18歳以上という年齢制限以外には、特に加入資格の制限はありません。

 iDeCoは、次の方などを除き、国民年金の被保険者である65歳未満の方が加入できます。

① 国民年金の保険料納付免除(一部免除含む)、納付猶予を受けている方(障害基礎年金の受給者を除く)

② 農業者年金に加入している方

③ 企業型確定拠出年金の加入者の方でマッチング拠出(企業型確定拠出年金において、事業主が負担している掛金に上乗せして、加入者自身も掛金を拠出できる制度)を利用している場合

④ 企業型確定拠出年金の加入者の方で事業主掛金が年単位拠出の場合

⑤ iDeCoの老齢給付金を受給された方、公的老齢年金を繰り上げ受給された方

 なお、所属する弁護士法人では、企業型確定拠出年金制度を採用しています。

 iDeCoでは、職業ごとに上限が設定されており、例えば自営業やいわゆるフリーランスの方などの「第1号被保険者」の場合は月額6万8000円、会社員などの「第2号被保険者」は、企業年金への加入状況などにより、月額1万2000円から2万3000円とされています。

 新NISAでは、非課税の保有期間が恒久化されたほか、年間の投資上限枠が最大360万円、生涯に投資できる枠も1800万円と大幅に増え、十分な税優遇制度という評価もなされています。

 また、iDeCoは、加入している従業員の加入者掛金に、事業主掛金を上乗せして拠出するiDeCo+(イデコプラス)という制度もあります。