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高知放送事件(最判昭和52年1月31日)の事実関係

 高知放送事件最高裁判例の事実関係は、最高裁の以下の摘示から確認できます。

「被上告人は、上告会社の編成局報道部勤務のアナウンサーであつたところ、(1)昭和42年2月22日午後6時から翌23日午前10時までの間ファツクス担当放送記者Cと宿直勤務に従事したが、23日午前6時20分頃まで仮眠していたため、同日午前6時から10分間放送されるべき定時ラジオニユースを全く放送することができなかつた(以下「第一事故」という。)、(2)また、同年3月7日から翌8日にかけて、前同様Dと宿直勤務に従事したが、寝過したため、8日午前6時からの定時ラジオニユースを約5分間放送することができなかつた(以下「第二事故」という。)、(3)右第二事故については、上司に事故報告をせず、同月14、5日頃これを知ったE部長から事故報告書の提出を求められ、事実と異なる事故報告書を提出した、そこで、上告会社は、被上告人の右行為は就業規則所定の懲戒事由に該当するので懲戒解雇とすべきところ、再就職など将来を考慮して、普通解雇に処した」

 弁護士にとっては、解雇権濫用法理を示した最高裁判例として有名ですが、上記の最後の引用部分のとおり、懲戒解雇事由に該当する場合に普通解雇ができることを判示した最高裁判例でもあります。