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著作権侵害者に対する廃棄請求等の考え方

 著作者又は著作権者は、自己の著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権または著作隣接権を侵害する者に対して、その侵害の停止を請求することが出来ることを著作権法112条1項が定めています。

 さらに著作権法112条2項は、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によって作成された物、専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求できることを規定しています。

 112条2項は。「前項の規定による請求をするに際し、」と規定していることから、廃棄請求は差止請求とは別個独立におこなうことはできないと考えられています。

 著作権者の許諾を得ずカラオケスナックでピアノ演奏やカラオケによる歌唱・伴奏音楽の再生を行うことが著作権を侵害する場合のピアノ、カラオケ装置を店舗からの撤去を命じた裁判例もあります。

 なお、侵害組成物等が第三者の所有に属する場合には、廃棄措置は認められません。

 また、販売委託先から書籍を回収して廃棄を命じた裁判例もあります。

 弁護士が相談に対応する際には、どのように対象物を特定するかも問題となることが多い印象です。