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刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対して強制執行をすることはできない(最高裁令和4年8月16日決定)

 受刑者の犯した罪の被害者が、受刑者の作業報奨金の強制執行を申し立てた事案において、最高裁は以下の理由により強制執行できない旨判示しました。

 作業報奨金は、「作業を奨励して受刑者の勤労意欲を高めるとともに受刑者の釈放後の当座の生活費等に充てる資金を確保すること等を通じて、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に資することを目的とするものである」

「作業を行った受刑者以外の者が作業報奨金を受領したのでは、上記の目的を達することができないことは明らかである。そうすると、同条の定める作業報奨金の支給を受ける権利は、その性質上、他に譲渡することが許されず、強制執行の対象にもならない」

「このことは、受刑者の犯した罪の被害者が強制執行を申し立てた場合であっても異なるものではない。」

 犯罪被害者の相談にのる弁護士としては重要な知識といえます。