時間外労働に基づく賃金請求権(いわゆる時間外手当)の遅延損害金は,商事法定利率である年6パーセントとなることが通常です。
従業員が退職した後の利率については,賃金の支払いの確保に関する法律が定めています。
同法6条1項,同法施行令1条は,退職後の利率について14.6パーセントと規定していますが,同法6条2項は,賃金の支払遅滞が天災地変その他やむを得ない事由で厚生労働省令の定めるものである場合は14.6パーセントの利率を適用しないと規定しています。
具体的には,①天災地変,②事業主が破産手続の開始決定を受けたこと,③支払が遅滞している賃金の全部または一部の存否に係る事項に関し,合理的な理由により,裁判所又は労働委員会で争っていること等が規定されています。
割増賃金は、「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」に割増率を乗じることにより算出されます(労基法37条1項)。
例えば、日によって賃金が定められている場合には、その賃金額を1日の所定労働時間で割ることにより計算します。
所定労働時間が法定労働時間を超える場合については、法定労働時間を超える労働を命ずることは無効であることから(労基法32条2項)、労基法の定める法定労働時間8時間の就労時間として扱われることになります(労基法13条)。
そうすると、1日の賃金額を法定労働時間数である8で割ることにより計算することになります。
事業場外みなしの適用が認められた場合(労基法38条の2「労働時間を算定し難い」の要件を満たしていることが前提となります。),原則として,①労働時間は「所定労働時間」とみなされますが(労基法38条の2第1項本文),②当該事業場外の業務遂行に「通常必要とされる時間」が所定労働時間を超えている場合には「通常必要とされる時間」が労働時間とみなされます(同条同項ただし書)。
②の場合,事業場外みなしの制度が労働時間の算定が困難であることを前提とするものであることから通常必要とされる時間を客観的に算定することは困難であることが容易に想定されることから,当該事業場における過半数労働組合(過半数労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者)との書面による協定で通常必要とされる時間を定めている場合には,その時間が労働時間とみなされます(労基法38条の2第2項)。
労基則20条1項は,時間外労働が深夜労働と重なる場合には,重なる労働時間に対しては割増率は5割以上(1か月の時間外労働が60時間以内の場合),あるいは,7割5分以上(1か月の時間外労働が60時間を超える場合)と定めています。
休日に1日8時間を超える労働をした場合には,休日労働に関する規制のみが及ぶことから,3割5分以上の割増率が適用されることになります。
休日の労働が深夜労働と重なる場合には,重なる時間は,6割以上の割増率となることが,労基則20条2項が定めています。
信託法56条1項1号は、受託者の死亡を信託の終了事由と定められていることから、受託者の地位は、受託者の相続人に承継されないことになります。
ただし、信託法60条は、新しく受託者が信託事務の処理をできるようになるまで受益者の利益が害されることのないように、受託者の相続人が信託財産の保管と信託事務の引継ぎに必要な行為をすることを義務付けている点には注意が必要です。
さらに、受託者は、取引により負った債務について信託財産を超えて責任を負うこと、受託者は無限責任を負うことが原則であることから、受託者の債務は、受託者の相続人に承継されることになります。
改正債権法509条1号及び2号は、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、及び、生命又は身体に対する不法行為に基づく損害賠償請求権について、それらを受働債権とする相殺を禁止する旨定めています。
したがって、上記のような不法行為でなければ、受働債権とする相殺が認められることになります。
なお、悪意で債務を履行しなかったことによる損害賠償請求権についても、改正民法509条1号の類推適用により、相殺が禁止されるべきという見解が主張されています。
改正民法423条の5は、債権者代位権が行使されても、被代位権利についての債務者の処分権限は制限されない旨明示しています。
このことから、第三債務者は、債権者代位権が行使されても被代位債権について債務者に弁済することも当然認められる(同423条の5後段)。
さらに、改正民法423条の6は、債権者代位訴訟提起の際に債務者への訴訟告知が義務付けていますが、訴訟告知後も債務者の処分権限は制限されないことから、債務者は第三債務者に被代位債権について請求をすることもできますし、第三債務者は債務者への弁済を有効に行うことができます。
加えて、債権者代位訴訟において代位債権者への直接支払いを命じる判決が確定した場合においても、債務者は第三債務者に被代位債権について請求をすることもできますし、第三債務者は債務者への弁済を有効に行うことができることになります。
なお、訴訟告知がなされなかった場合には、訴訟告知を訴訟要件と考えれば、訴えを却下するべきであると考えられます。
保険の多重契約がなされていた場合、改正保険法により導入された重大事由解除の適用の可否が議論されているようです。
まず、契約内容登録制度によっては、システムの限界などから、十分に多重契約を抑制することができないとの指摘もあるようです。
また、実務的には、保険の営業の方が、積極的に保険契約を勧誘しているケースもあるような気がしますので、保険業法の規制も考慮して妥当な解決を図るべき場合もあるものと考えられます。
賃料の増額請求権の法的性質はいわゆる形成権と考えられており,当事者の一方的な意思表示により相当な賃料額について形成的効果が生じると考えられます。
したがって,賃料増額の効果は,協議や合意,調停・訴訟などの確定の時点で生じるのではなく,増額請求の意思表示が相手方に到達した時点で生じることになります。
現行民法428条は,不可分債権を,①その目的が性質上可分であるが当事者の意思表示によってその目的が不可分とされた債権と,②性質上不可分である債権の双方を含む概念として規定しています。
改正民法428条は,不可分債権を上記①,すなわち,その目的が性質上不可分である場合に限定した概念として整理し,不可分債権の対外的効力について,連帯債権における更改・免除の絶対的効力を定めた民法433条,及び,連帯債権における混同の絶対的効力を定めた435条を除いて,連帯債権の規定を準用しています。
改正民法432条は,その目的が性質上可分な債権の内,法令の規定又は当事者の意思表示によって連帯債権が成立することを定めています。
不可分債務については,改正民法430条が,連帯債務者の一人との間の混同の絶対的効力を定める440条を除いて,連帯債務に関する規定を準用しいます。