検察官が刑事免責の適用を請求すると裁判所は免責決定をすることになります。
裁判所が刑事免責することにより、「証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれがある事項」に関する証言が強制されることになります。
刑事免責に基づいて強制された供述又はこれに基づいて得られた証拠は、当該証人の刑事事件において証拠とすることはできないことになります。
この点について、当該証人は具体的な供述をすればするほど免責の範囲が広がり得るという指摘もなされますが、そのような供述を検察官なり裁判所が許容するのかについては疑問もあります。
弁護人としては証人尋問に立ち会う権利があるわけでもないことから(黙秘権を行使しつつ、刑事免責の適用を狙うという弁護戦略や、司法取引の対象となる「特定犯罪」の場合には司法取引と刑事免責の検討も議論されているようです)、十分な準備・打ち合わせが求められます。
検察審査会が審査を行う事件について,証拠収集等への協力及び訴追に関する不起訴合意(刑事訴訟法350条の2)がなされている場合には,検察官は当該合意内容書面を提出する必要があります(検察審査会法35条の2第1項)。
問題は,検察審査会が起訴相当議決,不起訴不当議決,起訴議決を行った場合です。
これらの議決が行われた場合,不起訴合意は将来に向かって効力が失われることが刑事訴訟法350条の11に定められています。
検察審査会の議決を踏まえ公訴提起がなされた場合には,本人(被告人)が協議においてした供述,合意に基づいてした本人の行為により得られた証拠,これらに基づいて得られた派生証拠については,当該本人(当該被告人)の事件では証拠とすることができないこととされていますが(刑事訴訟法350条の12第1項),他人の刑事事件については証拠として用いることは妨げられません。
弁護士がまず制度を正確に理解した上で,被疑者・被告人への十分な説明が必要です。
仮想通貨に関する法律上、税務上の問い合わせも最近増えてきました。
以下、国税庁ホームページからの引用です。
[平成30年4月1日現在法令等]
問
仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けました。
この補償金の額は、預けていた仮想通貨の保有数量に対して、返還できなくなった時点での価額等を基に算出した1単位当たりの仮想通貨の価額を乗じた金額となっています。
この補償金は、損害賠償金として非課税所得に該当しますか。
答
一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、非課税にならないものとされています。
ご質問の課税関係については、顧客と仮想通貨交換業者の契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになりますが、一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられます。
したがって、ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となります。
なお、補償金の計算の基礎となった1単位当たりの仮想通貨の価額がもともとの取得単価よりも低額である場合には、雑所得の金額の計算上、損失が生じることになりますので、その場合には、その損失を他の雑所得の金額と通算することができます。
(所法35、36)
民事信託において一般社団法人を受託者とする意義は、その永続性や登記変更の手間や費用の支出をおさえる点もありますが、信託業法の規制を免れるためという点も否定できません。
なお、弁護士が受託者となることができるという見解も主張されているようです。
注意しておくべきことは、一般社団法人の社員総会や理事会などの運営コスト、法人内部の人間関係悪化などによる意思決定の困難などを想定しておく必要があります。
また、一般社団法人の利用が濫用や形骸化していると評価されると、当然のことながら、信託業法の脱法としての問題も生じることになります。
任意後見申立の相談及び任意後見を検討するべき事案が増えていますが、主な手数料は、以下のとおりです。
1 公証役場の手数料
原則は、1万1000円と法定されており、法務省令で定められている枚数の計算方法により4枚を超えた場合1枚あたり250円の用紙代が追加でかかります。
2 印紙代・登記嘱託料
印紙代として2600円、登記委嘱料として1400円が必要です。
3 郵便料、正本謄本の作成手数料
書留の郵便代として540円程度、登記用に必要な謄本、公証役場で保管する原本、委任者・受任者に渡す正本の作成手数用として、1枚当たり250円が必要となります。
受託者に対する債権者は、受託者の固有財産・他の信託の信託財産のみを引き当てとする債権者と、いわゆる信託財産責任負担債務の債権者に分類できます。
受託者の固有財産・他の信託財産のみを引き当てとする債権者としては、受託者が当該信託とは無関係に負担した債務の債権者が該当することになります。
信託財産責任負担債務は、受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務を指し、信託法21条1項1号から9号に定められています。
信託法217条は、「限定責任信託においては、信託財産責任負担債務(第21条1項第8号に掲げる権利に係る債務を除く。)に係る債権に基づいて固有財産に属する財産に対し強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権のの実効若しくは競売又は国税滞納処分をすることはできない」と定めています。
また、限定責任信託においては、登記が効力発生要件とされており(信託法216条1項)、信託行為から2週間以内に登記されなければらならない旨規定されています(信託法232条本文)。
最高裁平成29年2月28日判決の差戻審判決が労働判例1173号に掲載されています。
1 公序良俗違反
労働基準法37条が,労働契約における通常の労働時間の賃金をどのように定めるかについて特に規定しておらず,労働契約において売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働賃金とする旨の定めが公序良俗に反しないとしています。
当該制度は,「非効率的な時間外労働を抑制し,効率的な営業活動を奨励しようとするもので,業務の実態に即した賃金制度として合理性を認めることができる」という指摘もされています。
2 明確区分性
通常の労働時間の賃金が時間労働時間に応じて変動する点の主張は歩合給制度の存在から排斥し,支払われている割増金は計算の過程で同一額が控除されていることから実質的に時間外労働の対価が支払われてはいないという主張も排斥されています。
3 割増金の金額適格性
結論として,労働基準法37条の定める支給要件を満たしていると判示しています。
改めて上告されているようであり,最高裁の判断も注目されます。
平成29年重要判例解説の刑事訴訟法2番で紹介されている東京高裁平成28年12月7日判決です。
本件検証手続きと違法収集証拠に関する判示部分は,以下のとおりです。
「本件検証は,本件パソコンの内容を複製したパソコンからインターネットに接続してメールサーバにアクセスし,メール等を閲覧,保存したものであるが,本件検証許可状に基づいて行うことができない強制処分を行ったものである。しかも,そのサーバが外国にある可能性があったのであるから,捜査機関としては,国際捜査共助等の捜査方法を取るべきであったともいえる。そうすると,本件パソコンに対する検証許可状の発付は得ており,被告人に対する権利侵害の点については司法審査を経ていること,本件パソコンを差し押さえた本件捜索差押許可状には,本件検証で閲覧,保存したメール等について,リモートア クセスによる複写の処分が許可されていたことなどを考慮しても,本件検証の 違法の程度は重大なものといえ,このことなどからすると,本件検証の結果で ある検証調書及び捜査報告書について,証拠能力を否定した原判決の判断は正当である。」
弁護人が証拠排除を求めていたその他の証拠については,本件違法捜査がなくても捜査機関が取得することは可能であり,本件検証とは密接な関連性がないとして証拠能力を認めた原審の判断を是認しています。
景品表示法のうち、とくに「表示」に関する問題が増えてきました。
古川昌平弁護士の「エッセンス景品表示法」(商事法務)はコンパクトにまとまっており、全体像を把握するのに適切だとおもいます。
その他、消費者庁のウェブサイトを参照したり、通称緑本と呼ばれる大元慎二編著「景品表示法〔第5版〕」や、加藤公司ほか編著「景品表示法の法律相談」、電通法務マネジメント局編「広告法」、大元慎二編著「打消し表示の実態と景品表示法の考え方」などを参考にしています。
東京大学の白石教授のNBLの連載「景品表示法の構造と要点」も参考になります。
ジュリストの1517号で、「景品表示法の現状と課題」という特集が組まれています。
司法取引の主体となるのは、特定犯罪の「被疑者・被告人」ですが、平成27年5月20日の衆議院法務委員会において、林真琴法務省刑事局長(当時)が「現行の刑事訴訟法においても、会社等の法人も被疑者または被告人となり得るとされております。したがいまして、・・・法人もその合意の主体となり得るものと考えております」と答弁しており、法人が司法取引の主体となり得ることが明らかにされています。
企業が、その役員や従業員による犯罪行為の捜査・訴追に協力することで、企業自体の訴追を免れたり軽い求刑を獲得するということが可能ということであり、企業の経営陣による不祥事が発覚してその経営陣が解任された後に、新経営陣がその犯罪行為の解明について協力するのと引換えに企業自体の刑事責任の軽減を目指すということが想定されます。
一方で、従業員が少なくとも主観的には企業のために違法行為を行ったような場合に、当該従業員の捜査に企業が協力することで企業自身の刑事責任の軽減を図るという使われ方は違和感もあるところです。
また、このような事案で、相談にのる企業側の弁護士としては、当該従業員が司法取引に応じる場合も想定されることから、一般的に指摘される引っ張り込みの危険についても考慮が必要となります。