不動産は全国各地の法務局が登記簿という形で情報を公開していますが,不動産について権利変動が生じた場合には法務局に申請して最新の情報を登記簿に反映させる必要があります。
不動産を信託財産とする場合にも登記を申請する必要があります。
信託の登記を申請した場合,登記簿上はそれまでの所有者から受託者に権利が移転するとともに,信託目録が作成されて信託に関する情報が公開されることになります。
不動産の名義が受託者になることについての抵抗感がある場合も考えられるところです。
信託の登記がされないと,信託行為で当該不動産の売却や担保権のを設定が受託者の権限と定められていても,事実上実行することが困難となるという弊害も想定されます。
信託自体が終了した場合には,かつての所有者に所有権が戻ったり,その方が亡くなっていればその相続人に所有権が移転したりすることになりますが,信託行為において想定できる範囲で明確に規定しておくことが推奨されています。
自社株式を信託財産として、オーナー経営者を指図権者とする信託を組成することにより、支配権を継続しながら事業承継を行うことが考えられます。
一方、平成30年度税制改正で適用要件が緩和された事業承継税制では、税負担は軽くなることが期待できるものの、オーナー経営者から後継者へ支配権が移転することが要求されます。
各会社の実情に応じて、選択することになります。
なお、一般社団法人信託協会は、平成30年度税制改正に関する要望において、「株式の信託を利用した事業承継について、納税猶予制度の適用対象とすること。」を要望しています。
改正債権法の対応に集中しがちですが,弁護士業務に大きな影響がある改正相続法の施行時期も迫っています。
原則として,公布の日である平成30年7月13日から1年以内に施行される(別途政令で指定される)こととされていますが,遺言書の方式緩和については,平成31年1月13日から施行され,配偶者の居住の権利(配偶者短期居住権,配偶者居住権)については,公布の日から2年以内に施行される(別途政令で指定される)こととされています。
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愛知県弁護士会では、国選弁護事件の待機日に当番弁護の出動要請があることもあります。
刑事弁護は、初動が大切であるとよくいわれますが、逮捕段階での当番弁護の場合には、刑事訴訟法上の手続きとしては、勾留請求の段階までに弁護人としてどのような活動ができるかが大きなポイントです。
具体的には,逮捕されている被疑者が、どのような嫌疑をかけられているのか、どのような状況に置かれているのかなどを把握するために、できるだけ早い段階での接見が重要です。
その日の内に複数回接見をすることが効果的な場合もよくあります。
なお、被疑者国選対象事件は、「勾留」された被疑者に拡大されているにすぎませんので,被疑者が逮捕されている段階では,国選弁護人が選任されないことになります。
以上に加え、被疑者援助の書式の準備や、私選契約の可能性などについても検討することも求められます。
待機日には、極力予定を入れないことが肝要です。
労働判例1181号11頁で紹介されています。
結論として明確区分性の要件が否定されたこと(ただし、最高裁が「明確に」通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が区別されることを要件としているわけではないことについては注意が必要です。)、付加金が認定された割増賃金の残額の同額が認められたこと、割増賃金の請求権を放棄する意思表示が含まれているとはいえないこと、(やや細かい論点ですが)最高裁判決が言い渡されて以降は賃確法施行規則6条4号の合理的理由が否定され年6パーセントではなく年14.6パーセントの遅延損害金利率が適用されたことなどがポイントだと思います。
定額残業代ないし固定残業代に関する最高裁の新判例です。
最高裁は原審の判断を,「(1)いわゆる定額残業代の支払を法定の時間外手当の全部又は一部の支払とみ なすことができるのは,定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識して直ちに支払を請求することができる仕組み(発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み)が備わっており,これらの仕組みが雇用主により誠実に実行されているほか,基本給と定額残業代の金額のバランスが適切であり,その他法定の時間外手当の不払や長時間労働による健康状態の悪化など労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合に限られる。
(2) 本件では,業務手当が何時間分の時間外手当に当たるのかが被上告人に伝えられておらず,休憩時間中の労働時間を管理し,調査する仕組みがないため上告人が被上告人の時間外労働の合計時間を測定することができないこと等から,業務手当を上回る時間外手当が発生しているか否かを被上告人が認識することができな いものであり,業務手当の支払を法定の時間外手当の全部又は一部の支払とみなすことはできない。 」と整理した上で,是認できず,以下のとおり判断しています。
「(1) 労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される(最高裁昭和44年 (行ツ)第26号同47年4月6日第一小法廷判決・民集26巻3号397頁,最 高裁平成28年(受)第222号同29年7月7日第二小法廷判決・裁判集民事2 56号31頁参照)。
また,割増賃金の算定方法は,同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「労働基準法37条等」という。)に具体的に定められているところ,同条は,労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され,」「雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているか否かは,雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか,具体的事案に応じ,使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容,労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきである。しか し,」「当該手当の支払によって割増賃金の 全部又は一部を支払ったものといえるために,」「原審が判示する ような事情が認められることを必須のものとしているとは解されない。
(2) 前記事実関係等によれば,本件雇用契約に係る契約書及び採用条件確認書並びに上告人の賃金規程において,月々支払われる所定賃金のうち業務手当が時間外労働に対する対価として支払われる旨が記載されていたというのである。また, 上告人と被上告人以外の各従業員との間で作成された確認書にも,業務手当が時間外労働に対する対価として支払われる旨が記載されていたというのであるから,上告人の賃金体系においては,業務手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものと位置付けられていたということができる。さらに,被上告人に支払われた 業務手当は,1か月当たりの平均所定労働時間(157.3時間)を基に算定する と,約28時間分の時間外労働に対する割増賃金に相当するものであり,被上告人 の実際の時間外労働等の状況(前記2(2))と大きくかい離するものではない。こ れらによれば,被上告人に支払われた業務手当は,本件雇用契約において,時間外 労働等に対する対価として支払われるものとされていたと認められるから,上記業 務手当の支払をもって,被上告人の時間外労働等に対する賃金の支払とみることができる。」
原審は,テックジャパン事件最高裁判決の櫻井龍子補足意見を意識した判示を行ったものといえそうですが,最高裁はそのような判断を否定したとの評価も可能そうです。
判例タイムズ1450号40頁で紹介されています。
最高裁は、「(1) 免責許可の決定の効力を受ける債権は,債権者において訴えをもって履行を請求しその強制的実現を図ることができなくなり,上記債権については,もはや民法166条1項に定める「権利を行使することができる時」を起算点とする消滅時効の進行を観念することができないというべきである(最高裁平成9年(オ)第426号同11年11月9日第三小法廷判決・民集53巻8号1403頁参照)。このことは,免責許可の決定の効力を受ける債権が抵当権の被担保債権である場合であっても異なるものではないと解される。
(2)ア 民法396条は,抵当権は,債務者及び抵当権設定者に対しては,被担保債権と同時でなければ,時効によって消滅しない旨を規定しているところ,この規定は,その文理に照らすと,被担保債権が時効により消滅する余地があることを前提としているものと解するのが相当である。そのように解さないと,いかに長期間権利が行使されない状態が継続しても消滅することのない抵当権が存在することとなるが,民法が,そのような抵当権の存在を予定しているものとは考え難い。
イ そして,抵当権は,民法167条2項の「債権又は所有権以外の財産権」に当たるというべきである。
論旨は,抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合の抵当権自体の消滅時効期間は被担保債権の種類に応じて5年(商法522条)や10年(民法167条1項)である旨をいうが,そのように解することは,上記の場合にも被担
保債権の消滅時効の進行を観念するに等しいものであって上記(1)と相いれず,また,法に規定のない消滅時効の制度を創設することになるものであるから,採用することができない。
ウ したがって,抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には,民法396条は適用されず,債務者及び抵当権設定者に対する関係においても,当該抵当権自体が,同法167条2項所定の20年の消滅時効にかかると解するのが相当である。」と判示しています。
参照されている最高裁平成11年11月9日判決は,「免責決定の効力を受ける債権は,債権者において訴えをもって履行を請求しその強制的実現を図ることはできなくなり,右債権については,もはや民法166条1項に定める『権利ヲ行使スルコトヲ得ル時』を起算点とする消滅時効の進行を観念することができないというべきであるから,破産者が免責決定を受けた場合には,右免責決定の効力の及ぶ債務の保証人は,その債権についての消滅時効を援用することができない」と判示していました。
破産手続きが同時廃止で終了したこともこのような紛争を生じさせた原因かもしれませんが,破産事件、不動産事件を扱う弁護士としては、必要な知識として理解しておく必要があります。
他人に強要されて犯罪行為を行った場合には,刑法37条1項本文の緊急避難の要件を満たせば,無罪ということになります。
拳銃で脅され覚せい剤を使用した事件に関する東京高裁平成24年12月18日判決は,緊急避難の成立を認め,無罪の結論を導いています。
それでは,強要されて行われた犯罪行為の被害者は正当防衛による対応が可能といえるでしょうか。
当該犯罪行為が緊急避難により違法阻却されるとすれば正当防衛による対応はできず,緊急避難による対応しかできないことになります。
弁護士業界(対裁判所,対検察庁を含む。)では,FAXで書面のやり取りを行う機会もたくさんあります。
うちの事務所では,よく送る裁判所などの番号は事前に登録をした上で登録された番号を選択できるようにするとともに,登録をしていない先については,二人体制で番号の読み合わせをして送信するようにしています(番号確認のためのFAXを送付することもあります。)。
先日,某裁判所で保釈保証金納付の手続きを待っていたところ,番号を逆から読み合わせをして送信している声が聞こえてきました。
確かに合理的かもしれないと思い,うちの事務所でも導入を検討したいと思います。
名古屋で刑事事件を扱っていると、控訴審の弁護を担当することもあります。
刑事控訴審の実務について書かれている文献は、捜査弁護や第一審について書かれたものと比べると少ないのが実情だと思いますが、 植村立郎(弁護士、元東京高裁判事)監修、岡慎一弁護士・神山啓史弁護士編「刑事上訴審における弁護活動」(成文堂)や、第一東京弁護士会刑事弁護委員会「国選弁護活動の手引き上訴審編」が簡潔にまとまっていると思います。