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市立高校のソフトボール部員がノック練習中,捕球時に左手小指を骨折した事故につき,監督教師に過失があるとして,市の国家賠償責任が認められた事例

 判例時報2440号72頁に掲載されている京都地裁令和元年10月24日判決です。

 過失の認定について,「本件において,原告が参加した本件ノック練習は,野球経験の豊富なAが強度の高いノックを行うものであって,ソフトボール部における練習の中でも比較的負傷の危険性が高いものであったと考えられる上,そもそも原告自身の能力向上ではなく他の部員の手本とするものであったという点で,原告を本件ノック練習に参加させる必要性が必ずしも高かったとはいえないことに加え,Aが原告を本件ノック練習に参加させるに当たり,原告が何度も痛みを訴える程度に左手親指を負傷していることを認識していたにもかかわらず,Aは,本件ノック練習への参加の可否について原告の判断に任せただけで,原告の負傷について聞き取りを行うなどの配慮をしたとは認められない。また,Aは,原告を本件ノック練習に参加させるに当たり,原告の負傷の状態に照らして更なる負傷の可能性を高めないようノックの強さを調節するなど練習内容を工夫したとも認めることができない。そうすると,原告の捕球能力が他の部員よりも高く,本件事故前に原告が同程度の強度の打球を捕球できていたことを考慮しても,指導に当たったAにおいて原告に対する安全面への配慮に欠けるところがあったというべきである。」と判示しています。

 障害等級13級が認められており,損害の合計額を846万2081円とし,素因減額を否定したうえで2割の過失相殺を行い,結論として,676万9665円の損害を認定しています。

 弁護士として,部活等での事故の相談にのる際に参考になると思います。