名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 債権法改正 >> 債務者の帰責事由と危険負担規定の履行拒絶の可否

債務者の帰責事由と危険負担規定の履行拒絶の可否

 改正民法536条では、債権者を契約の拘束から解放する制度として解除制度に一本化するのではなく、危険負担制度は存続させることとし、反対給付の当然消滅ではなく、反対給付の履行を拒むことができることが定められました。

 ただし、同536条1項「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったとき」と定めていることから、文言上、債務者に帰責事由があるときに債権者が反対給付の履行を拒むことができないのではないかと考えられます。

 実際、立法担当者の見解は、債務者に帰責事由があるときは、債権者は履行を拒むことができないと考えているようであり、債務者に帰責事由があるときには、債務者が負っていた債務は填補賠償債務に転化し、この填補賠償債務と債権者の反対債務は同時履行の関係に立つことから、債権者としては同時履行の抗弁を主張する必要があるとの見解に立っているようです。

 契約締結の段階から相談に対応する弁護士としては、契約書に明確に記載することにより、トラブルが起きないようにすることが求められる点だと思います。