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押収物の還付請求手続き

 捜査手続きにおいて、捜索・差押えが行われた結果、被疑事実とは関連性のないものや、必要と考えられる期間経過後も領置されているのではないかと考えられる経験があります。

 刑事訴訟法222条1項、同123条1項は、事件が終結したときには捜査機関が押収物を還付しなければならないこと、留置の必要がないと認められる場合には事件が終結していなくても還付しなければならないことを定めています。

 また、刑事訴訟法222条1項、同123条2項は、仮還付の制度を定めています。

 これは、留置の必要がなくなったとはいえないけれども、一時返還しても捜査上の支障がないと認められる押収物を、一時的に返還する手続きです。

 押収物の仮還付を受けた所有者、所持者、保管者または差出人は、還付の場合とは異なり、捜査機関に返還することが予定されていることから、押収物の保管義務を負うことになります。

 仮還付を受けた所有者であっても、押収物を勝手に処分した場合には、刑法252条、262条の適用がありえます。

 弁護士が被疑者の代理人として手続きを行う場合、弁護人選任届とは別に委任状を要求される場合もあるようです(なお、還付請求のみの代理人になることは慎重な検討を要するものと考えられます)。

 還付請求の却下処分、仮還付の却下処分に対しては、準抗告を行うことができます(刑事訴訟法430条1項「押収物の還付に関する処分」。1項が検察官又は検察事務官のした処分、2項が司法警察職員のした処分について定めている、)。

 なお、裁判所の還付、仮還付の決定、それらの請求を却下する決定に対しては抗告の申立てができます(刑事訴訟法420条2項)。