平成28年に成年後見に関する民法改正が以下のとおり行われています。
1 郵便転送(民法860条の2,同860条の3)
成年後見人が家庭裁判所の審判を得て成年被後見人宛郵便物の転送ができるようにしたものです。
成年被後見人宛の郵便物の存在や内容を把握できないことによる財産管理への支障に対応するものという位置づけのものです。
2 死後事務(民法873条の2)
成年後見人が,成年被後見人の死亡後も一定の事務を行うことができるようにしたものです。
従来も「応急処分」として死後事務が認められることはありましたが,「急迫の事情があるとき」に限られ,事務の範囲も不明確であるとの指摘に対応するものです。
参考条文
第八百六十条の二 家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第三項 に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2 前項に規定する嘱託の期間は、六箇月を超えることができない。
3 家庭裁判所は、第一項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長することができない。
4 成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
第八百六十条の三 成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2 成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。
3 成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等(前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めることができる。
第八百七十三条の二 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)
使用者は、労働組合から団体交渉の申入れがあった場合、団体交渉の席に着くだけではなく、誠実に交渉することが求められ、この義務に反すれば、団交拒否の不当労働行為となります。
この点についてカール・ツアイス事件判決は、「使用者には、誠実に団体交渉に当たる義務があり、したがって、使用者は、自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して、誠意をもって団体交渉に当たらなければならず、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に示したり、必要な資料を提示するなどし、また、終局において労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても、その論拠を示して反論するなどの努力をすべき義務があるのであって、合意を求める労働組合の努力に対しては、右のような誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務があるものと解すべき」と判示しています。
具体的には、決裁権限のある者が交渉に臨んでいるか、適切な時期に適切な回数の交渉を行っているか、合理的な理由なく自らの主張に固執していないか、適切な資料を開示しているか等を踏まえて判断がなされているようです。
なお、そもそも団交拒否の正当理由になり得る場合として、交渉事項を理由とする拒否(経営や生産、役員の人事などのように労働関係に関係がないといえる事項)、交渉担当者・交渉方法を理由とする拒否(申入れられた時間や場所が不適切な場合や、交渉担当者以外の組合員や支援者が多数参加する場合など)等が実務上問題となります。
労働基準法115条は,賃金の消滅時効期間を2年と定めていますが,改正民法166条1項が,標準的な時効期間として5年と規定することになりました。
労働基準法115条は,旧民法174条1号・2号が定めていた短期消滅時効の特則ないし救済的な規定と位置付けられており,改正民法施行後は,逆転現象が起きることになります。
仮に労働基準法115条を改正するとすれば,未払残業代請求の案件への影響のほかにも,年次有給休暇など他の制度にも波及することから,議論を注視しておきたいと思います。
行政法学者として著名で、現在は弁護士として行政訴訟を数多く手がけている阿部泰隆先生の論文が判例時報2333号126頁に掲載されています。
辛辣なコメントが続きますが、判検交流については、「兵庫県警の警察官が山口組で研修して警察官に戻るようなもの」と表現して批判していています。
今回の債権法改正で対象となった項目は多岐にわたりますが,重要な(実質的な変更を含む)改正項目としては,以下のものが挙げられると思います。
・ 消滅時効
・ 保証(根保証を含む)
・ 法定利率
・ 定型約款
事務所内でも適宜勉強をはじめたところです。
また,上記項目に限らず経過規定についても細かく定められているので,弁護士としては,はやめにひととおり確認しておく必要があります。
7月13日に施行された刑法の一部改正を受けて,有斐閣ホームページに差し替えのPDFデータがアップされています(有斐閣ホームページ)。
日弁連は,性犯罪の非親告罪化,「強姦罪」から「強制性交等罪」への変更,監護者による性犯罪に関する規定の新設,性犯罪に関する法定刑の引き上げをポイントとしてまとめています。
著作権法59条は、「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」と規定しています。
著作者人格権には、氏名表示権や同一性保持権などが含まれます。
実務上は、著作者人格権の不行使特約が広く利用されていますが、生命身体にかかる人格権等とは異なることから基本的に有効性を認めるべきだと考えられます。
なお、著作権法61条1項は、「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。」と定め、同条2項は、「著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。」と規定しています。
改正民法425条は、「詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。」と規定しています。
債務者にも確定判決の効力が及ぶ点で、実質的な変更を含む改正項目です。
また、改正民法426条は、詐害行為取消請求の出訴期間について、債権者が知った時から2年、詐害行為の時から10年と定めています。
債務免除を受けた債務者個人が得た利益(債務免除益)がどの所得に分類されるかについては個別に検討する必要があります。
最近の裁判例でも、債務免除益を配当所得としたもの、事業所得にあたるとしたもの、不動産所得にあたるとしたもの、一時所得にあたるとしたものがあります。
最高裁平成27年10月8日第一小法廷判決は、権利能力なき社団が、その理事長に対して行った多額の借入金債務の免除による当該理事長の債務免除益が賞与に該当するとして(所得税法28条1項)、源泉所得税の納税告知処分(所得税法183条1項)及び不納付加算税の賦課決定処分がなされた事案です。
所得税法28条1項 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
所得税法183条1項 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
破産管財業務のなかで、いわゆるオーバーローン状態の担保権付きの不動産を任意売却し、売却代金の一部を財団に組み入れ配当に回すことがあります。
このいわゆる財団組入れの法的根拠については、管財人が高価に換価した努力に対する褒賞と説明する見解のほかに、担保権者が本来把握している担保価値を上回る部分を組み入れるとの考え方や、担保目的物の価値の維持に一般債権者の寄与があるとして組み入れをすることにより破産債権者の利益を代表する破産管財人が財団に組み入れるという考え方があるようです。
実務的には、売却代金の何パーセントを財団に組入れるかを担保権者と協議することも破産管財人弁護士の業務です。