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債務免除益の所得分類と源泉徴収義務

  債務免除を受けた債務者個人が得た利益(債務免除益)がどの所得に分類されるかについては個別に検討する必要があります。

 最近の裁判例でも、債務免除益を配当所得としたもの、事業所得にあたるとしたもの、不動産所得にあたるとしたもの、一時所得にあたるとしたものがあります。

 最高裁平成27年10月8日第一小法廷判決は、権利能力なき社団が、その理事長に対して行った多額の借入金債務の免除による当該理事長の債務免除益が賞与に該当するとして(所得税法28条1項)、源泉所得税の納税告知処分(所得税法183条1項)及び不納付加算税の賦課決定処分がなされた事案です。

所得税法28条1項 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。

所得税法183条1項 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。