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国際自動車事件差戻控訴審判決(東京高裁平成30年2月15日判決)

 最高裁平成29年2月28日判決の差戻審判決が労働判例1173号に掲載されています。

1 公序良俗違反

  労働基準法37条が,労働契約における通常の労働時間の賃金をどのように定めるかについて特に規定しておらず,労働契約において売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働賃金とする旨の定めが公序良俗に反しないとしています。

 当該制度は,「非効率的な時間外労働を抑制し,効率的な営業活動を奨励しようとするもので,業務の実態に即した賃金制度として合理性を認めることができる」という指摘もされています。

2 明確区分性

  通常の労働時間の賃金が時間労働時間に応じて変動する点の主張は歩合給制度の存在から排斥し,支払われている割増金は計算の過程で同一額が控除されていることから実質的に時間外労働の対価が支払われてはいないという主張も排斥されています。

3 割増金の金額適格性

  結論として,労働基準法37条の定める支給要件を満たしていると判示しています。

改めて上告されているようであり,最高裁の判断も注目されます。