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差押え済みのパソコンを「検証すべき物」とする検証許可状によりリモートアクセスすることの拒否が問題となった事例

 平成29年重要判例解説の刑事訴訟法2番で紹介されている東京高裁平成28年12月7日判決です。

 本件検証手続きと違法収集証拠に関する判示部分は,以下のとおりです。

 「本件検証は,本件パソコンの内容を複製したパソコンからインターネットに接続してメールサーバにアクセスし,メール等を閲覧,保存したものであるが,本件検証許可状に基づいて行うことができない強制処分を行ったものである。しかも,そのサーバが外国にある可能性があったのであるから,捜査機関としては,国際捜査共助等の捜査方法を取るべきであったともいえる。そうすると,本件パソコンに対する検証許可状の発付は得ており,被告人に対する権利侵害の点については司法審査を経ていること,本件パソコンを差し押さえた本件捜索差押許可状には,本件検証で閲覧,保存したメール等について,リモートア クセスによる複写の処分が許可されていたことなどを考慮しても,本件検証の 違法の程度は重大なものといえ,このことなどからすると,本件検証の結果で ある検証調書及び捜査報告書について,証拠能力を否定した原判決の判断は正当である。」

 弁護人が証拠排除を求めていたその他の証拠については,本件違法捜査がなくても捜査機関が取得することは可能であり,本件検証とは密接な関連性がないとして証拠能力を認めた原審の判断を是認しています。