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司法取引と検察審査会の議決

 検察審査会が審査を行う事件について,証拠収集等への協力及び訴追に関する不起訴合意(刑事訴訟法350条の2)がなされている場合には,検察官は当該合意内容書面を提出する必要があります(検察審査会法35条の2第1項)。

 問題は,検察審査会が起訴相当議決,不起訴不当議決,起訴議決を行った場合です。

 これらの議決が行われた場合,不起訴合意は将来に向かって効力が失われることが刑事訴訟法350条の11に定められています。

 検察審査会の議決を踏まえ公訴提起がなされた場合には,本人(被告人)が協議においてした供述,合意に基づいてした本人の行為により得られた証拠,これらに基づいて得られた派生証拠については,当該本人(当該被告人)の事件では証拠とすることができないこととされていますが(刑事訴訟法350条の12第1項),他人の刑事事件については証拠として用いることは妨げられません。

 弁護士がまず制度を正確に理解した上で,被疑者・被告人への十分な説明が必要です。