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上訴権放棄の手続き

1 はじめに

 上訴権放棄とは、刑事事件の判決言い渡し時に、被告人が上訴(控訴・上告)権を放棄する制度です(刑事訴訟法359条)。放棄の手続きは書面で裁判所へ提出し、検察官も放棄すれば判決が即時確定します。

 名古屋地裁では、担当部ではなく、事件管理の部に提出する扱いとされています。

 なお、死刑・無期拘禁刑に処する判決では放棄はできないこととされています(同法360条の2)。

2 メリット

 言い渡された判決が早期に確定する点です。通常、上訴期間(判決翌日から14日)経過で確定しますが、被告人と検察官の双方が放棄することにより即確定します。

 執行猶予判決の場合、猶予期間が早く開始することになり、執行猶予期間が早く終了します。

 上訴をする可能性がそもそも低い場合、無駄な時間・費用を避け、精神的負担を軽減できる場合もあります。

3 デメリット

 判決に誤りや不服があっても、訂正・破棄の機会を失うことになります。

 後日、後悔しても取り返しがつかないことになります。

 判決の言い渡しでは、判決の理由をすべて話していない可能性もあり、判決直後に軽率に放棄することがないように慎重に対応する必要があります(なお、岐阜地裁では、通常の公判手続きの際にはなされないにもかかわらず、また、執行猶予が予想される判決の言い渡し日に所持品検査が行われるようです。名古屋地裁本庁では、そもそも一般の傍聴人を含めて、持ち物検査が一律行われています。)。