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労働基準法施行規則第19条第1項第6号に規定される「総労働時間」に、有休の消化時間は含まれるか?

1 割増賃金の算定基礎賃金の1時間当たりの単価計算に際して、基本給等の固定給は所定労働時間数で除するのに対し、歩合給などの出来高払い給与は、労基法施行規則第19条第1項第6号により、総労働時間数で除することになっています。

 そうすると、年次有給休暇を消化することで実労働時間が減少し、徐する数字が小さくなることにより、歩合給の労働者について割増賃金の単価ないしは割増賃金の総額が相対的に増えることが、構造上あり得ます。有休を消化する(消化した回数ないし時間が多い)ほど、歩合給の割増賃金が増えることになり、不都合ではないかとも思われます。

2 結論としては、 労働基準法施行規則第19条第1項第6号の「総労働時間」は、「実際に労働した時間」を指し、有給休暇を取得した時間は、総労働時間に含まれないと考えられています。

 弁護士が会社側、労働者側のどちらからに相談に乗る場合にも、歩合給のある会社では問題となります。

3 有給休暇を取得すると、実労働時間が短くなる一方で、有給分の賃金が確保されます(労基法第39条)。

  そのため、有給休暇の取得により割増賃金が増える場合、労働者にとっては経済的メリットとなり得ますが、そもそも実労働時間が減少することによって、歩合給のベースとなる成果が減少することも容易に想像されます。

 労働基準法では、有給休暇は労働者の権利として保障されており(労基法第39条)、これを取得したことによる不利益な取扱いは禁止されています(労基法附則第136条)。したがって、有給取得による割増賃金の増加を理由に、労働者の権利を制限することは難しいですが、必要な場合には、歩合給の計算方法を含めた賃金に関する考え方の定期的な見直し、有給休暇の取得が割増賃金に与える影響を抑える設計を検討する(例:固定給部分を増やす、歩合の基準を調整する)等を検討するべき場合もあり得ます。