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「買いたたき」が問題となる取引が行われた場合の差額請求

 判例タイムズ1532号で、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法上の買いたたきに該当し不法行為に該当するとして損害賠償請求をした事案が紹介されています。

 裁判所は、下請法上の買いたたき行為に該当したことをもって私法上の不法行為を構成するということはできず、下請事業者における適正な原価と一定の利益率を勘案して受け取るべき対価を措定して、親事業者の支払金額との間に著しい乖離があり、かつ、協議状況等の他の要素を考慮しても著しい乖離が正当化されない場合に限られると判示しています。

 不法行為該当性については、適正な原価及び利益率と、実際に支払われた金額との差額に著しい乖離はないとして否定していますが(独占禁止法上の優越的地位の濫用を理由とする不法行為該当性も否定しています。)、請負契約または商法512条に基づき通常支払われる対価から既払金を控除した残額の相当報酬額については、下請事業者の請求を認めています。

 上記の請求を認めるにあたっては、契約締結時において有償合意が存在するのみで具体的な報酬額の合意はされていなかっという認定や、見積書・注文書が作成されていてもそれに記載されている金額で合意されたとは認められないと認定している点も、この種の相談にのる弁護士にとっては参考になります。

 なお、下請法は、用語も含めて大きな改正がなされており、法律名が、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」となり、下請事業者は「中小受託事業者」に、親事業者は「委託事業者」に、 下請代金は「委託等代金」に変わり、令和8年1月から施行されます。