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割増賃金の計算方法の考え方

 残業代請求は、使用者側弁護士、労働者側弁護士どちらでも、相談にのることの多い相談の分野といえます。

 残業代請求の相談では、割増賃金の計算方法(法令及び判例の視点)を正確に理解したうえで、具体的な労働時間に関する事実認定の視点(主張立証)が必要です。

 割増賃金の額は、時間単価 × 時間外労働の時間数 × 割増率 により、計算されます。

 月によって定められた賃金は、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月平均所定労働時間数)で除した金額であることが労基則19条1項で規定されていますが、月によって所定労働時間数が異なることが通常ですので、1年間における1月平均所定労働時間数で除することが一般的です。

 時間単価、すなわち、「通常の労働時間の賃金」(いわゆる「基礎賃金」ともいわれる。)から除外できる賃金は、労基則21条で以下のとおり定められており、その法的位置づけは限定列挙と解されています。

⑴ 家族手当

⑵ 通勤手当

⑶ 別居手当

⑷ 子女教育手当

⑸ 住宅手当

⑹ 臨時に支払われた賃金

⑺ 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 限定列挙であることの意味は、仮に就業規則や労働契約、賃金規程で、除外賃金に該当しない手当を基礎賃金に含めない旨定めたとしても無効となるということです。

 家族手当と称される手当であっても、扶養家族のある方に対して家族の人数に関係なく一律に支給されているものは除外賃金には該当しない扱いとされており、通勤距離や通勤に要する実費の考慮せずに定額で支給される手当は除外賃金とすることはできません。

 臨時に支払われた賃金の除外賃金該当性が否定された裁判例として、無事故の場合に支給される無事故手当や、懇親会の会費を補助するために支払われた食事手当があります(いずれも、当該会社における支給の実態を踏まえた個別的な検討がなされており、その都度詳細な検討が必要な場合があります。)。

 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、賞与・ボーナスを指します。