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日本版DBS法の留意点

 いわゆる日本版DBS法の正式な法令名は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」です。

 立法の過程において、大きな話題を呼びましたが、公布日である令和6年6月26日から起算して2年6か月を超えない範囲で政令で定める日とされています。

 法律の趣旨は、児童対象性暴力等が児童等の権利を著しく侵害し、児童等の心身に生涯にわたって回復し難い重大な影響を与えるものであることに鑑み、児童等に対して教育、保育等の役務を提供する事業を行う立場にある学校設置者等及び認定を受けた民間教育等事業者が教員等及び教育保育等従事者による児童対象性暴力等の防止等の措置を講じることを義務付けるなどするとされています。

 対象事業に該当する対象業務に従事予定の方(既に従事している方を含む。)の犯罪歴を確認する仕組みが創設されました。

 犯罪歴確認の申請は、従事予定の方が関与して、学校設置者等か認定を受けた民間教育保育等事業者が行うこととされています。

 対象となる犯罪は、「特定性犯罪」として規定されており、刑法で定められている性犯罪のほか、盗犯等の防止及び処分に関する法律で定められている性犯罪、児童福祉法に定められている性犯罪、いわゆる性的姿態撮影等処罰法のほかに、各都道府県の条例で定められている性犯罪がありますが、実際に児童等が被害に遭ったものには限定されていません。

 さらに、対象となる期間は、拘禁刑の言い渡しを受けて刑の執行を終わってから20年、全部執行猶予を受けたものや罰金刑の場合には10年とされており、刑法上の刑の言い渡しの効力が失われる期間よりも長い期間が定められています。

 採用の場面のほか、5年ごとに犯罪事実確認を実施する必要があり、労働契約締結後に対象となる犯罪歴が判明した場合には、配置転換や解雇を検討することが求められます。

 労働、刑事弁護、さらに憲法論の観点からも弁護士として検討しておくべきといえるでしょう。