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民法704条の悪意の受益者

 民法704条は、悪意の受益者が、その受けた利益に利息を付して返還する義務を定めています。

 いわゆる過払金を取り扱う弁護士であればよく知っている規定です。

 悪意の受益者とは、一般には、法律上の原因のないことを知りながら利得を得た者のことを言うとされています。

 法律上の原因がないことを知らないことについて過失がある場合には、「悪意」に該当するかについては議論があり、過失があってもしらなければ悪意としない見解、過失があれば悪意とする見解、重過失を悪意と同視する見解があります。

 判例の考え方として、事実関係から直接に悪意を認定できない場合には、一定の事実から受益者の悪意を推定し、反証のない限りは悪意を肯定するという判断枠組みを採用していると分析されているようです。

 悪意は、金銭を受領した時に法律上の原因がないことを知っていればその時点で当然に悪意が肯定され、不法行為が成立する可能性もあります。

 悪意の証明責任については、損失者が負担するというのが基本的な考え方ですが、法律の禁止・公序良俗に反し、利得者が違法性を認識している場合には、悪意が推定されるべきという考え方もあります。

 改正債権法では、法定利率が3パーセントとなったため、令和2年4月1日以降については、その適用関係も問題となります。

 不法行為が成立するような場合には、民法704条後段にもとづく賠償請求についても問題になります。