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女性の再婚禁止期間の廃止

 令和4年12月10日、民法の嫡出推定制度の見直し等を内容とする民法等の一部を改正する法律(令和4年法律第102号。)が成立し、女性の再婚禁止期間が廃止されました。

 令和6年4月1日から施行されます。

 もともと民法733条1項は、女性の最近禁止期間を6ヵ月と定めていました。

 平成8年のいわゆる民法改正要綱において100日に短縮する案がしめされていたところ、女性の再婚禁止期間の合憲性が問題となった最高裁平成27年12月16日大法廷判決は、平成20年頃までには、100日を超える期間を定める部分は憲法に違反する旨判断していました。

 女性の再婚禁止期間を定めること自体が違憲である旨の意見も付されていました。

 今回、上記のとおり、女性の再婚禁止期間の定め自体が廃止されたことの意義は大きいですが、併せて、婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定すること、夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めたこと、嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸ばすこと、認知の無効の訴えの規律が改正されるなどの関連する大きな改正がなされています。

 弁護士としては、正確に理解しておく必要がありますし、立法論として、同性婚や、(選択的)夫婦別姓、共同親権の議論などの動向も気になるところです。

 夫婦別姓に関する最高裁令和3年6月23日大法廷判決の宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官の反対意見では、「婚姻により当事者の一方のみが生来の氏名に関する人格的利益を享受し続けるのに対し、他方は自分自身についてのかかる人格的利益を享受できず、かつ、かかる人格的利益の喪失による負担を負い続ける状況になる」という指摘は重要です。