雇用に関する男女平等についての法規制
雇用に関する男女平等の定めは、主に労働基準法及び男女雇用機会均等法に定められています。
まず、賃金については、労基法4条が定めており、賃金以外については、男女雇用機会均等法が以下のとおり、具体的に規制をしています。
⑴ 5条、6条 賃金以外の労働条件・事象
⑵ 9条1項 婚姻、出産したことを退職理由として予定することの禁止
⑶ 9条2項 婚姻したことを理由とする解雇の禁止
⑷ 9条3項 女性に特有の事由を理由とした不利益取扱の禁止
(近時の重要判例である広島中央保健協同組合事件(最判平26・10・23)は、労基法65条3項に基づく妊娠中の軽易業務への転換に際して副主任を免ぜられ、育児休業の終了後も副主任に任ぜられなかったことが男女雇用機会均等法9条3項に反するかが問題となりましたが、その理解には雇用機会均等法の理解が必須です。)
⑸ 11条 セクハラについて事業主が必要な措置を講じるべきこと
⑹ 7条 間接差別
なお、女性であることを理由に賃金差別を受けたと主張する労働者は、不法行為による損害賠償請求権により賃金差別の額及び慰謝料を請求することができると解しつつ、労基法4条により賃金差別を無効とした後に、差別された女性労働者の賃金の基準が明確である場合においては、労基法4条と同法13条の趣旨や類推適用により差額請求権が生じうると解するのが裁判例及び学説上有力とされており、労働事件を扱う弁護士は理解しておく必要があります。