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内定者への就業規則の適用について

 内定の法的性質を始期付解約権留保付労働契約の成立と解釈することが実務上通説となっており,事案によって「就労始期付」と「効力発生始期付」に分けて考えるべき場合があると考えられていますが,両者を区別する基準が必ずしも判然としないこと等により,判断を二分化することについては疑問を呈する立場もあります。

 就労始期付と判断される場合には,労働契約上の拘束関係は内定時から生じるため,就労を前提としない範囲,例えば,企業の名誉・信用の保持,秘密保持等については,就業規則の適用や業務命令による義務付けが肯定されやすくなります。

 一方,効力発生始期付と判断される場合には,入社日までは労働契約の効力は発生していないので,就業規則の適用や業務命令による義務付けは否定的と解されます。