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退職者に対する給与支払い及び退職金支払い時期についての考え方

 給与の支払いについて,例えば末締め10日払いの定めを賃金規程に定め実際そのように運用している場合には,労働基準法24条が定める賃金支払いについての諸原則に反することはないと一般的に考えられています。

 ところが,労働者が退職または死亡した場合については別の取扱をすることが求められます。

 すなわち労働基準法23条1項は,労働者が退職又は死亡した場合について,「7日以内に賃金を支払い,積立金,保証金,貯蓄金その他名称の如何を問わず,労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。,」と定めています。

 したがって,退職者から請求があった場合には,7日以内に給与を支払わなければならないことになります。

 退職金についても労働基準法23条1項の「賃金」に該当するものと一般に考えられており,労働基準法23条1項の適用により7日以内に支払うことが必要とも考えられますが,行政解釈では,あらかじめ就業規則等で定められた支払時期に支払えば足りるものとされており,実務上もそのように取り扱われていますが,法解釈の観点から,弁護士としては若干気になる部分もあります。