名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 債権法改正 >> 保証人に対する情報提供義務の整理

保証人に対する情報提供義務の整理

 いよいよ4月1日に施行が迫った改正債権法では、保証人の保護を図る観点から、3種類の情報提供義務が導入されました。

 一つ目は、主債務の履行状況に関する情報提供義務(458条の2)です(条文の順に列挙しています)。対象となる保証人は、委託を受けた個人・法人の保証人ですが、違反した際の規定はありません。

 二つめは、主債務者の期限の利益喪失時における情報提供義務(458条の3)です。対象となる保証人は、委託の有無を問わず個人の保証人で、違反した債権者は、通知時までの遅延損害金相当額の保証履行の請求ができなくなります。

 三つめは、契約締結時の情報提供義務(465条の10)です。事業のために負担する債務について委託を受けた個人の保証人が対象であり、保証人に対する情報提供がなされたとはいえない場合で、かつ、そのことについて債権者が悪意又は有過失である場合には保証人による契約の取消権が認められています。

 以上のような情報提供に関する制度は、条文順に並べると、契約締結時、主債務履行時、期限の利益喪失時という弁護士が直感的に整理しやすい時系列とは一致しないことから、混乱しがちです。

 整理の方法として、上記3つめの情報提供義務は独立して理解するのがよいと思います。

 事業についての債務に関する保証契約については、情報提供義務の規律と一緒に(どのような事項をどの程度説明するべきかについて非常に悩ましい議論がなされています。)、保証意思宣明公正証書が有効要件となること、保証意思宣明公正証書の適用除外規定が議論されていることについてまずは押さえておくべきということです。

 なお保証意思宣明公正証書の作成手続きについては、3月1日から施行されることになっています(参考公証人連合会ホームページ)。