身元保証契約に改正民法の根保証契約の適用はあるか
身元保証ニ関スル法律1条は、「引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行為ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約」と定義しています。
潮見佳男「プラクティス債権総論(第5版)」677頁では、「身元保証とは、被用者の雇入れによって使用者に生じた損害の担保を目的とする保証のことを言う。」と記載されています。
この身元保証契約には、①被用者が使用者に対して損害賠償債務を保証する保証契約の性質を有するものと、②被用者が使用者に対して損害賠償義務を負うか否かにかかわらず被用者が使用者に対して負わせた損害を賠償する損害担保契約の性質を有するものがあると解されています(筒井健夫ほか『Q&A改正債権法と保証実務』(商事法務)81頁)。
上記①の性質を有すると判断される身元保証契約の場合には、改正債権法の適用があることになるため、極度額の定めがなければそれだけで当該身元保証契約は無効となります(改正民法465条の2)。
実務上極度額を定める場合には、具体的な金額をどう定めるか、例えば多額になることのある横領等を想定した場合など、更新のタイミング、経過措置などもあわせて、なかなか悩ましい問題が発生することになりそうです。