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事業場外労働みなし制の考え方

1 まず、以下の行政通達がありますが、一見して、「使用者の具体的指揮監督」、「労働時間の管理」、「指示」という概念の関係があいまいという印象をうけます。

「事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務であること。したがって、次の場合のように、事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はないものであること。

① 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合

② 事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合

③ 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、事業場にもどる場合」

2 最高裁平成26年1月24日判決は、事業場外労働みなし制の要件である労働時間算定困難性について、使用者が労働者の勤務状況を具体的に把握することが困難か否かという観点から判断しています。

 労働時間の算定が困難であることと使用者の指揮監督とは本来別の次元であると考えられることから、理論的には相当と考えられますが、実務上の問題としては、事業場外労働みなし制が有効に認められるためには、どの程度の困難さが求められるかということになります。