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相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)

 相続人ではない者(相続人の配偶者等)が被相続人の療養看護に努めるなどの貢献を行った場合であっても,遺産の分配を受けることができないという不公平を解消し,被相続人の療養看護等に尽くした者の貢献に報いるために,相続人に対し,その貢献に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することができるようにするため,特別の寄与の制度が新設されました。 

 これにより,相続人以外の被相続人の親族が,被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした場合,その親族は,相続の開始後相続人に対し,寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができることになります。

 特別寄与料の額は,寄与の時期,方法及び程度,相続財産の額その他一切の事情を考慮して,特別寄与料の額を定めることとsれており(1050条3項),特別寄与料の額は,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができないことが定められています(同条4項)。

 権利行使期間については,家庭裁判所に対する調停・審判の申立ては,①特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内,②相続開始の時から1年以内にしなければならないとされ(1050条2項,いずれも除斥期間),最長でも相続開始時から1年以内に申立てる必要があります。

 特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなし,相続税が課税されることになりますが,相続税の計算では,特別寄与者は「一親等の血族や配偶者以外の者」に該当するため2割加算する必要があることになります(相続税法18条1項)。

 準委任契約等の財産権上の請求権も排除されていないこと等からも,このような税務上の取扱には疑問も残るところです。

 なお,特別寄与料は,相続人の相続税の課税価格から控除されるため,相続税申告後に特別寄与者から請求を受けた場合,更正の請求をすることができることが規定されています(相続税法32条1項7号)。