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相続させる旨の遺言がなされた場合の対抗要件具備に関する遺言執行者の権限

 従来、相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)がなされた場合、権利を承継した相続人が単独で登記申請することができたことから、最高裁平成11年12月16日は、遺言執行者の職務は顕在化せず、登記手続きをするべき権利も義務も有しないと判示しました。

 しかし、改正民法899条の2第1項は、法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件なく第三者に権利の取得を対抗することができないことを規定したことから、改正民法1014条2項は、遺言執行者が、特定財産承継遺言により財産を承継する受益相続人のために対抗要件を具備する権限を有することを明確化しました。

 なお、改正民法のもとでも、受益相続人が単独で登記を申請することはできると解されています。