名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 相続法改正 >> 配偶者居住権の成立要件

配偶者居住権の成立要件

 配偶者居住権は、①配偶者が相続開始の時に被相続人所有の建物に居住しており、かつ、②⑴当該建物について配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割がされた場合、⑵遺贈がされた場合、⑶死因贈与がされた場合に成立します(改正民法1028条)。

 改正民法1029条は、家庭裁判所が、①共同相続人の間で配偶者に配偶者居住権を取得させることについて合意が成立している場合に加えて、②配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認める場合に限り、配偶者居住権を取得させる審判をすることができることを定めています。

 配偶者居住権により、家族信託の活用場面として期待されている機能が代替できるとの評価もされていますが、附則10条2項は、施行日前にされた遺贈についてついては適用しないこととしています。