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契約書の著作物性

 著作物というためには、思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの(著作権法2条1項1号)と評価される必要があります。

 東京地裁昭和40年8月31日判決は、船荷証券の用紙について、「被告ないしその取引相手方の将来なすべき契約の意思表示にすぎないのであって、原告の意思はなんら表白されていないのである。従って、そこに原告の著作権の生ずる余地はないといわなければならない」と判示しており、東京地裁昭和62年5月14日判決は、土地売買契約書の案文について、「『思想又は感情を創作的に表現したもの』であるとはいえない」と判示しています。

 創作性の程度については、表現の選択の幅を基準にする見解が有力であり、たまたま最初に契約書を作成した者に長期間の独占を認めることの弊害の観点から、著作物性を一律に否定する見解や原則的に否定する見解があります。