名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 企業法務 >> 支配人の意義

支配人の意義

 商法21条1項及び会社法11条1項の支配人の意義について、通説的見解は、商人・会社から営業に関する包括的な代理権、すなわち、一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を与えられた使用人をさすと考えています。

 通説的見解に対しては、取引をしようとする相手方が当該使用人の代理権の制限をその都度確認する必要があるという点で支配人制度の意義がなくなることになります。

 このような観点から、支配人の意義を商人・会社により本店または支店の営業の主任者である地位に選任された使用人と考えるべきとする有力説が主張されています。

 有力説からは、営業主の意思に関係なく、「支配人」は、商法21条1項・3項あるいは会社法11条1項・3項の代理権を有することになる。

 なお、商法25条・会社法14条は、「ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人」を規定しており、代理権の範囲が限定されているが、裁判上の行為を除く当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する点、代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できない点は、支配人の規定と同様です。