受託者の公平義務と民事信託
信託法33条は,「受益者が二人以上ある信託においては,受託者は,受益者のために公平にその職務を行わなければならない。」と,いわゆる受託者の公平義務を定めています。
以下のような民事信託の事例で,受託者の公平義務が議論されています。
収益物件を信託財産とし,受託者が同物件の売却権限を有すること,一次受益者の生きている間は同物件からの収益を分配し,一次受益者がなくなった後は二次受益者に残余財産を分配するという受益者連続信託を想定した場合,同物件の価値の下落との関係で,受託者による同物件の売却のタイミングによっては,片方の受益者を害すると評価でき得る。
信託の目的などを適切に設定することにより,受託者の権限行使に不当な負担がかからないような工夫が必要と考えられます。
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