民事信託と遺留分について判断した裁判例(東京地裁平成30年9月12日判決)
一部で話題になっていますが、東京地裁平成30年9月12日判決は、民事信託と遺留分の関係について判断しています。
争点は多岐にわたりますが、民事信託との関係では、本件信託契約時の委託者の意思能力の有無、本件信託が公序良俗に反するか、本件信託が有効な場合に遺留分減殺の対象は信託財産か受益権か等が判断されています。
最も議論を呼びそうなのが、本件信託契約の一部を公序良俗に反して無効であることを導くに際し、他の部分では「仮に遺留分が侵害されているならばそれを行使して利益の回復を図ることができるのであるから、・・・本件信託が遺留分逃れのものであるということはできない。」と指摘しつつ、「民法上認められた遺留分減殺請求権の行使を妨げる内容の信託が許されることになるものではない。」と指摘している点です。
いずれにせよ信託契約を提案する弁護士としては、検討が必須の裁判例といえます。
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