秘匿決定事件の審理
刑事裁判は公開の法廷で行われますが,被害者の氏名等が起訴状朗読,冒頭陳述,書証の取調べ,論告・弁論等で明らかにされる場合には,特に,性犯罪をはじめとする被害者の名誉やプライバシーが著しく害されることが容易に想像されます。
そこで,刑事訴訟法290条の2は,被害者の特定事項を公判廷で明らかにしない旨の決定,いわゆる秘匿決定について定めています。
秘匿決定がなされた刑事事件では,弁護士,検察官はもちろん,裁判官も,名前をうっかり言わないよう細心の注意を払うことが求められます。
先日弁護人として出頭した名古屋高裁の秘匿決定事件では,秘匿決定がなされたことを示す筒が,弁護人,検察官,裁判官,及び,傍聴人にも一見して分かるように,複数立てられました。
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