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時効の更新事由と一体で規定されている時効の完成猶予事由

 改正民法では,権利行使により時効の完成猶予が生じ,前記権利行使が確定することにより更新事由になるという制度が複数あります。

 裁判上の請求,支払督促,調停,破産手続参加・再生手続参加・更生手続参加について定める改正民法147条1項柱書は,「・・・その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては,その終了の時から6箇月を経過する)までの間は,時効は完成しない」と規定し,同条2項は,「前項の場合において,確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは,時効は,同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。」と規定しています。

 強制執行,担保権の実行,競売,財産開示手続について定める148条も同様に規定しています。

 一方で,更新事由と一体ではなく完成猶予の効果だけ認められる制度として,仮差押え・仮処分(149条),催告(150条),協議を行う旨の合意(151条)が規定されています。