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短期消滅時効の廃止と原則的な消滅時効期間の短縮化とその例外

 債権法改正により、現行民法170条から174条までの短期消滅時効の特例が廃止されることになります。

 しかしながら、上記規定で2年間とされていた消滅時効の期間が10年とされることに対する違和感や、安定的に運用されている5年の商事消滅時効期間への実務的影響についても配慮が要求されていました。

 一方で、時効期間を短くするべではない債権の存在についても議論されていたところです。

 そこで、改正民法は、主観的起算点から消滅時効期間が進行する新しい消滅時効制度を導入しました。

 すなわち、「権利を行使することができる時」から客観的に起算される10年という従来の消滅時効期間(客観的基準)を維持したうえで(改正民法166条1項2号)、「権利を行使することができることを知った時」から5年の期間により消滅するという請求権者の主観的な基準を導入しました(同項1号)。

 さらに,改正民法167条で,「人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効」については,上記2号の「10年」ではなく,「20年」という規定も設けられました(不法行為の消滅時効に関する改正民法724条1号・2号及び同724条の2も参照)。