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定型約款による契約の成立(新民法548条の2)

 民法の原則では、契約の当事者が契約の内容を認識して意思表示をすることで初めて当該契約に拘束されると考えられますが、いわゆる約款を用いた取引をする多くの方は、その内容を認識しないにもかかわらずその内容に拘束されるのかについての法的説明はあいまいな部分もあったものと考えられます。

 改正民法548条の2第1項は、①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたこと(同項1号)、あるいは、②定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していた場合において契約の当事者において定型取引を行う旨の合意がされていた場合に、定型約款を利用した契約が成立すると定めており、定型約款に記載された個別の条項の内容について相手方が認識していなくても合意をしたものとみなす旨定めています。

 ただし、このような法的効果を認めることは、ある種の「擬制」であることから、同条2項は、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であり、信義則に反して一方的に相手方の利益を害する条項については、「合意をしなかったものとみなす」という定めを置いています。