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法人税法の繰越欠損金

 法人税法上欠損金の繰越が認められるのは、企業が継続することを前提としつつ、課税実務上の便宜上事業年度が人為的に設定されているために、過去に生じた損失をその後の事業年度の利益と通算することを認めることが妥当であるという考え方に基づくものです。

 最高裁平成25年3月21日判決(神奈川県臨時特例企業税事件)は、「各事業年度間の所得の金額と欠損金額を平準化することによってその緩和を図り、事業年度ごとの所得の金額の変動の大小にかかわらず法人の税負担をできるだけ均等化して公平な課税を行うという趣旨、目的から設けられた制度」と判示しています。

 平成28年度の法人税改正により、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金の繰越期間が9年から10年に変更されましたが、繰越控除前における所得の金額のうちの一定割合のみ控除できることとされており、平成29年4月1日から平成30年3月31日までに開始した事業年度では所得の55パーセント、平成30年4月1日から開始した事業年度では所得の50パーセントが限度とされています。