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相続税法上の受益者

 信託法上の受益者は,受益権を有する者と定義されています(信託法2条6項)。

 しかし,相続税法上は,受益者としての権利を現に有する者(相続税法9条の2第1項),及び,特定委託者(信託を変更する権限を現に有しかつ信託財産の給付を受けることとされている者(相続税法9条の2第5項)を指すことになります。

 さらに,相続税基本通達では,詳細に規定がなされています。

 信託行為を考える上では,予想外の課税が生じないよう慎重な検討が必要です。

相続税基本通達 第3節 信託に関する特例

第9条の2《贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利》関係

(受益者としての権利を現に有する者)

9の2-1 法第9条の2第1項に規定する「受益者としての権利を現に有する者」には,原則として例えば,信託法第182条第1項第1号((残余財産の帰属))に規定する残余財産受益者は含まれるが,停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者,信託法第90条第1項各号((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))に規定する委託者死亡前の受益者及び同法第182条第1項第2号に規定する帰属権利者(以下9の2-2において「帰属権利者」という。)は含まれないことに留意する。(平19課資2-5,課審6-3追加)

(特定委託者)

9の2-2 法第9条の2第1項に規定する特定委託者(以下「特定委託者」という。)とは,公益信託ニ関スル法律(大正11年法律第62号)第1条((公益信託))に規定する公益信託(以下9の2-6において「公益信託」という。)の委託者(その相続人その他の一般承継人を含む。以下同じ。)を除き,原則として次に掲げる者をいうことに留意する。(平19課資2-5,課審6-3追加)

(1) 委託者(当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合,信託行為に信託法第182条第2項に規定する残余財産受益者等(以下9の2-5までにおいて「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合に限る。)

(2) 停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者(法第9条の2第5項に規定する信託の変更をする権限を有する者に限る。)